サーモンのタルタル、レモンピールのピューレとソイキャビア添え
ほとんど刺身状態で味付けを感じないサーモンをちいさなさいの目にきざみ、ラディッシュやキュウリの極薄切りで囲んでモヤシ類を添えてある。向こうに小さく搾り出されているのはレモンの皮をピューレにしたもので、手前にイクラ(ではなく、ソイキャビアつまり大豆の成分を使った擬似魚卵らしい)が添えられる。本当に新鮮で瑞々しく臭みのないサーモンを、向こう側が透けて見えるほど薄くスライスした野菜そして繊細なモヤシとかいわれを一緒に食べると、口中でそれぞれ少し違ったサクサク感がある。いわばサクサク感のハーモニーとでも呼べる状態になった。
サクサク感もあるがねっとりしているサーモン。その後には、薬味または刺身のつまのような感覚でレモンピールのピューレをつまむ。するとフレッシュな風味が溶け出して口の中のサーモンや野菜に広がり、今まで味わったことのないような感覚を呼び起こす。なるほどカリスマシェフ、なかなか面白い趣向である。合わせて供されたワインは2種。
■ ベンティスケーロ レセルバ ソーヴィニヨン・ブラン 2007
■ ミゲル・トーレス・チリ サンタディグナ カベルネ・ロゼ 2008
ハーブや花のような風味と辛口でさわやかな酸味があるソーヴィニヨンは、若草のような風味があって申し分なく料理を引き立てる。いっぽう、ロゼは珍しくカベルネ・ソーヴィニヨンだけで造られたもので、こちらはきりりとしたスパイシーさがサーモンのネットリ感とつり合うので快適である。