イタリアの対岸がチュニジア
ワインで有名な地中海の国と言えば、フランス、それともイタリア? いま一度イタリア半島をブーツに見立てれば、つま先の近くにシチリア島がある。その100キロメートルほど先、アフリカ大陸の最北端に位置するのは、チュニジア共和国である。チュニジアはフランスやイタリアの人々にとって、飛行機でひとっ飛びのリゾート地として人気がある。飲酒を禁じるイスラム教が国教だが、戒律が寛容でワインは一般に飲まれている。降雨量が少なく温暖な気候はブドウ栽培に合っており、近年は外資が参入して、品質・生産量ともに向上しているという。
エム・アンド・ピーという運輸会社が、大使館関係者など在日チュニジア人の要望を受けてチュニジアの食材とワインを輸入するようになった。現在はエスニック料理店でも、チュニジアワインがよく飲まれているという。生産者は協同組合のUCCV(チュニジアワイン醸造中央連盟:Union Centrale des Cooperatives Viticoles)、産地は地中海沿岸部、首都チュニス周囲の冷涼な地域である。
低温浸漬でブドウのアロマを引き出す
シャトー・クリペア シャルドネ2003 |
原産地呼称制度が整備されたチュニジアだが、これは海に近い涼しい地域AOCモルナグのブドウである。生産者の資料によると石灰質土壌の畑で手摘みしたシャルドネを使い、12℃で16時間の低温浸漬(ブドウを潰してから、果汁に固形分を漬け込んで風味を引き出す)をするという。
意外なほど酸味もしっかりとバランスが取れている。酒石酸が結晶したグラニュー糖のような沈殿が見られるボトルもあるが、これはガラス混入などと間違えないようにしたい。酒石酸を析出させる低温処理は用いていないのかも知れない。
フランス産オーク樽で4ヶ月熟成させるとのことだが、サイズが大きいか古樽なのだろう。樽香は特段感じない。果実味中心だから、なるべく早い時期に飲めばフレッシュなアロマを楽しめるはずだ。
ワイン名:シャトー・クリペア シャルドネ
ヴィンテージ(収穫年):2003
生産者名:
UCCV(チュニジアワイン醸造中央連盟)
ブドウ品種:シャルドネ
地域名:AOCモルナグ(Mornag)
アルコール分:12%
輸入元:エム・アンド・ピー
価格:オープン(参考小売価格\1,380)
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