ワイン/特別な日の高級ワイン

東京の『シャトー』にて、ボルドーを飲む(4ページ目)

ボルドーワイン委員会の発案で日本の専門家たちが選んだ、手頃でおいしいワインのセレクション『バリューボルドー2007』。お披露目会場は、東京・恵比寿『シャトーレストラン・ジョエル・ロブション』だった。

執筆者:橋本 伸彦

これがボルドー尽くしのディナーだ

アペリティフには優良白ワインで知られるグラーヴ地区から、シャトー・ダルシャンボーの白。ソーヴィニヨン・ブランにセミヨンを2割効かせて爽やかである。これはアミューズ・ブーシュ(先付け)と合わせる。

ドーム型の蓋が乗ったグラスに盛られたクレーム
特撰生雲丹 甲殻類のジュレになめらかなカリフラワーのクレーム
右の料理はは極上のウニにフルフルとした触感のジュレ(繊細なゼリー)そしてトロリとカリフラワー風味のクリームという3層構造である。シャトー・ペラン・ド・ノーディンヌ、セミヨン種主体の白と。これは……ねっとりすべすべとした味わいの4重奏だ!

この後に、『活オマール海老 アワビと共にピペラード仕立てのリゾットに』(「ピペラード」はバスク地方のピーマンのトマト煮込みのイメージだろう)をシャトー・ラ・トゥール・レオニャンと。このワインはグラーヴでも特に優れた区域ペサック・レオニャン産で少しコクがあるため、オマールやアワビの旨味とも釣り合う。

皿の中央部にグリルした魚の切り身とその下に濃い色のソース
天然真鯛 五香紛の香りと共にソースヴェルジュテを添えて
『フォアグラ ブランチャで焼き、筍と共に』(「ブランチャ」はスペイン語で鉄板。「鉄板焼き」だろうか?)に合わせるのは、ジネステ社の樽熟成させた赤、そしてネゴシアンのカルヴェ社が造るレゼルヴの赤である。

右の写真は真鯛に「ソース・ヴェルジュテ」(ブドウ果汁を加えたソース)を添えたもの。これをドゥルト社のグランド・キュヴェ・サンテミリオンと楽しむ。メルロー主体でスパイシーかつ土臭いニュアンスもあり、中華料理の香辛料・五香紛や真鯛の香りとマッチする。

ピンク色のロース肉の薄切りが並べられた奥には白アスパラ、向こう側にモリーユが並ぶ
特撰牛ロース肉 ボルドー産ホワイトアスパラガス、モリーユ茸を添えて
メインディッシュは右の、サシの入った柔らかな牛肉。季節のアスパラの瑞々しさと、アミガサタケの濃厚さを盛り込んで仕上げは泡のソース。シャトー・ラルジャンテールと合わさって、芳醇な香りとコクが口の中で幾重にも重なるのは計算済み、といった組みあわせ。

さて、ここまでのメニュー。クリーム、フォアグラ、牛肉にモリーユ茸とリッチな食材が組み込まれており、すでにお腹は一杯……と思いきや、ここでひとつ涼しげなゼリーものが入る。

漆黒をバックに円柱形のグラスから顔を出す砂糖をまぶした果物
バラの香りをまとった赤くなめらかなジュレ
プルーンとハイビスカスそしてバラの花を使ったジュレに、砂糖をまぶした果実が飾られる。目にも新鮮、口が洗われてリフレッシュする。

デザートの『フルーツマリネ バジル風味のソルベとスープを合わせて』はベリーなどの果物をスープ仕立てにしており、ルピアック地区のクロ・ジョンは申し分ない。可愛らしい野草の黄色い花や、アプリコットを想わせる甘酸っぱさがデザートに似合っている。

ひとつひとつの料理に合うよう、お手頃なボルドーワインだけで組み立てたディナーである。あなたも家庭でそしてレストランで、こんなディナーを組み立ててみてはどうだろうか? 何か一品に合わせるワインに迷ったら上の組みあわせが参考になるだろう。専門家が選んだバリューボルドー、なかなか重宝しそうである。


『バリューボルドー2007』の詳細は?>>
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