ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

キャルロ。きらびやかなバローロの世界(2ページ目)

試飲会で好印象だったミケーレ・キャルロのワイン。最新ヴィンテージをイタリアのニツ星レストラン『サドレル』東京店で、特別にあつらえた料理と合わせた。空腹時に読むと危険かも!?

執筆者:橋本 伸彦

華やかなプレリュードから…

シルバーのきらめきがちりばめられたラベル
「カステルマーニョチーズのカルナローリ米"リゾット"」が供された。ピエモンテ特産のチーズを使い、リゾットに最適と言われる肉厚な高級米の歯応えを残した、コクとインパクトがあるリゾットである。合わせるワインはバルベーラ・ダスティ『ラ・コールト』2001年。

バルベーラというブドウ品種は、一般には酸っぱいワインになることも多い。だがこのラ・コールトは、バランスよく穏やかな酸味そしてさらっと軽やかな果実味が、エレガントにまとまっている。ちょっぴりオレンジの皮のようなスパイス、オーク樽の利いた、コーヒーのような感じのあるなめらかなワインだ。

リゾットをじっくり味わったところに『ラ・コールト』をひとくち。リゾットの余韻を洗いながら、しなやかなワインの風味が溶け合う…。

イカと牛とインゲン!

このヤリイカの中にたっぷり詰められているのは、ちょうどフランスのリエットのように、しっとりと綿のように柔らかくほぐれた牛肉。プリッとしたイカとビーフのふわふわな食感のコントラスト、そこにコロコロと添えられたインゲンはアクセントになる。同席者たちを見ると「イカと牛??」と意外そうなようす。いつもの安心メニューもいいが、こんな驚きがある料理も愉快ではないか。「牛肉のグアンチャーレを詰めたヤリイカ 薪釜仕立てのサルッジーニ産インゲン豆と共に」である。
手のひらサイズの小ぶりなイカに、たっぷりのグアンチャーレが詰まっている

この料理と合わせたのがバローロ「チェレクイオ」1998年。試飲段階からすでに旨さが際立っていた。まずその色合いの美しさが目を引く。濃すぎず深みのあるオレンジレッドである。香りの中にチェリーやラズベリーなど色の濃い果物の風味があり、たっぷりとボリューム感のある味わいに、酸味も穏やかに利いている。芳香の中にふわっと皮革やミントの香りが感じられる長い余韻の後口…いやこれは、圧倒的な存在感だ。
ヴィンテージから7年目、これからが飲みごろのチェレクイオ

この後、「仔牛舌のストゥファート ブドウと黒トリュフの赤ワインソース」にバローロの『カンヌビ』1998年。このワインはがっしりと重量級。ところが若いバローロにありがちな渋過ぎ感がない。これはとりわけ良いヴィンテージでまだ風味が閉じ気味だったのだが、よく空気に触れさてみるとトリュフ入りのコクのあるソースとよく合うものだ。これから数年熟成させて、さらに豊かなブーケを楽しめる。


→Page1 キャルロのワインとサドレルの料理
・Page2 さらに、濃厚な赤ワインの悦楽
→Page3 現在と未来のクロスオーバー
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます