華やかなプレリュードから…
シルバーのきらめきがちりばめられたラベル |
バルベーラというブドウ品種は、一般には酸っぱいワインになることも多い。だがこのラ・コールトは、バランスよく穏やかな酸味そしてさらっと軽やかな果実味が、エレガントにまとまっている。ちょっぴりオレンジの皮のようなスパイス、オーク樽の利いた、コーヒーのような感じのあるなめらかなワインだ。
リゾットをじっくり味わったところに『ラ・コールト』をひとくち。リゾットの余韻を洗いながら、しなやかなワインの風味が溶け合う…。
イカと牛とインゲン!
このヤリイカの中にたっぷり詰められているのは、ちょうどフランスのリエットのように、しっとりと綿のように柔らかくほぐれた牛肉。プリッとしたイカとビーフのふわふわな食感のコントラスト、そこにコロコロと添えられたインゲンはアクセントになる。同席者たちを見ると「イカと牛??」と意外そうなようす。いつもの安心メニューもいいが、こんな驚きがある料理も愉快ではないか。「牛肉のグアンチャーレを詰めたヤリイカ 薪釜仕立てのサルッジーニ産インゲン豆と共に」である。この料理と合わせたのがバローロ「チェレクイオ」1998年。試飲段階からすでに旨さが際立っていた。まずその色合いの美しさが目を引く。濃すぎず深みのあるオレンジレッドである。香りの中にチェリーやラズベリーなど色の濃い果物の風味があり、たっぷりとボリューム感のある味わいに、酸味も穏やかに利いている。芳香の中にふわっと皮革やミントの香りが感じられる長い余韻の後口…いやこれは、圧倒的な存在感だ。
この後、「仔牛舌のストゥファート ブドウと黒トリュフの赤ワインソース」にバローロの『カンヌビ』1998年。このワインはがっしりと重量級。ところが若いバローロにありがちな渋過ぎ感がない。これはとりわけ良いヴィンテージでまだ風味が閉じ気味だったのだが、よく空気に触れさてみるとトリュフ入りのコクのあるソースとよく合うものだ。これから数年熟成させて、さらに豊かなブーケを楽しめる。
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・Page2 さらに、濃厚な赤ワインの悦楽
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