まずは、発酵についてですが、いわゆる納豆やくさやなどのように菌や酵母などで発酵するのではなく、茶葉に含まれるカテキン類が空気中の酸素によって「酸化」することを意味します。お茶の六つの区分のところで触れましたように、お茶は酸化発酵の度合いによって、緑茶であるか、紅茶であるか、あるいは青茶であるかなどの区分が行われています。
緑茶の場合は発酵しないので、不発酵茶。黄茶と黒茶も途中までは緑茶と同じ製法です。(後で詳しく説明しますが、これらは後発酵という考え方です。)白茶は摘み採った後すぐに天日で乾燥をさせると同時に発酵を止めるので、微(軽)発酵茶と呼ばれます。そして紅茶は、発酵を促進させる処置をして最後に乾燥(=殺青と同じ)をさせるので、完全発酵茶といわれます。これらを数値に現すと、
1 緑茶 不発酵茶 発酵度 0%
2 白茶 微(軽)発酵茶 発酵度 10%以下
3 紅茶 完全発酵茶 発酵度 100%
となります。
では、緑茶・白茶と紅茶の真中がすぐさま半発酵になるのでしょうか?あるいは、50%の場合のみ半発酵というのでしょうか?
緑茶の場合は、茶葉を摘みとってすぐに熱を加えて発酵を止める作業を行います。殺青(さっせい)という作業です。ところが、半発酵の青茶の場合は、茶葉を摘んでから、ある程度時間がたってから、熱を加えることになります。これは、茶葉含まれるカテキン類を酸化によって変化させ、緑茶にない香りと味を引き出す作業と考えて良いでしょう。
なぜ、こんなお茶が生まれたのかということですが、むかし、山の上に生えていた茶葉をつんで、背中の竹籠に摘めて山を下ってくる間に、酸化発酵が起こって、その茶葉を製茶したら非常に香りの良いお茶が出来たというのが青茶の発祥だと言われています。これは、広東省のウートン山というところのお話しだと言われていますが、なんとも説得力の有る話しですね。
青茶の発酵の度合いは、かならずしも、白茶と紅茶の間にぴったりと収まるわけではありませんが、大体その度数の間のポイントで作られており、他のお茶に比べて際立って発酵度の範囲が広いのが特徴といえるでしょう。では、どのぐらいの発酵度のお茶を半発酵茶=青茶というのでしょうか。一般的には、15%から70%ぐらいと言われています。
台湾の文山包種茶が一番発酵が軽くて15%程度。次いで凍頂烏龍茶や高山茶が150~30%程度、武夷岩茶、鳳凰単叢、安渓鉄観音などが30%。そして一番発酵殿高いのが、台湾の香檳烏龍(東方美人)の70%程度を言われています。発酵度によって、味や香りに変化が出てくるのは、味のベースとなるカテキン類が酸化することによって減少したり、タンニンが蛋白質やアミノ酸などと結合し、緑茶とは異なった香気成分を作るからなのだそうです。そのために、緑茶に比べて苦くなりにくく、また烏龍茶ポリフェノールと呼ばれるような身体に良い成分も作られるのです。
さて、このようにバラエティーに飛んだ青茶は、その製法もさまざまです。次回は、青茶の製茶方法に迫ってみましょう。