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ヘレンド「ヴィクトリア」

1851年、世界初の万国博覧会が開催されたロンドン。そのロンドン万博で、ヴィクトリア女王に認められた美しい花蝶紋様のヘレンド磁器についてご紹介します。

桑原 珠玉

執筆者:桑原 珠玉

紅茶ガイド

ロンドン万博でヴィクトリア女王の目にとまったヘレンドの磁器


ヴィクトリアシリーズの色鮮やかな蝶は器のなかで可憐に舞うようで、花の美しさと溶け合いながら器全体の気品を称えているようです。2001年に復刻された「同 ヒストリック」はコロンとした丸い形状が特にかわいい。
イギリスのヴィクトリア女王にちなんでネーミングされたヘレンドの「ヴィクトリア」。1851年に万国博覧会で世界の目に触れることとなったこの器は、約1世紀半の時を経て、現在まで続くヘレンドを代表するパターンのひとつとなりました。この「ヴィクトリア」の始まりと現代版ヴィクトリアをご紹介しましょう。

世界初となる万国博覧会は、1851年、ロンドンのハイドパークで開催。25カ国が参加し、機械・工業製品や美術・工芸品が多数展示されました。ハンガリーの磁器メーカー、ヘレンドはロンドン万博に美しい蝶やたくさんの花が絵付けされた花鳥紋様のディナーセットを出品します。そこで、ヴィクトリア女王の目にとまり、女王がセットで注文したことがヘレンドの名声を一気に世界中に広めるきっかけとなりました。
ロンドン万博時はこの花鳥紋様のディナーセットは「ヴィクトリア」という名称ではなかったのですが、ヴィクトリア女王から注文を受けたのち、これは「ヴィクトリア」という名前で呼ばれるようになりました。

ヘレンドの花蝶紋様を代表するシリーズ「ヴィクトリア」

ヴィクトリア ヒストリックのティーカップ。丸い形状のティーポットと合わせた、かわいい形。カップの下めにハンドルが付いています。
ヘレンドは開窯が1826年。その175周年を記念して、2001年に復刻されたのが「ヴィクトリア ヒストリック」。これにはヘレンドのペインターのうち約5%ほどしかいないマスターペインターによる絵付けが施されています。

透き通るような白い器に、強調したい部分と繊細な絵付けの濃淡が見事に映え、大胆に舞う蝶と色とりどりの花が鮮やかに器を取り囲んでいます。当時と同じ色合いを忠実に復刻したものとのこと。ハンガリーのヘレンド社が作成した図録のなかにある1851年のヴィクトリアと比較すると、現代のヴィクトリアのほうがより力強い、堂々とした存在感と華やかさを併せ持っているように見えます。

また、現代の定番ヴィクトリアを代表する「ヴィクトリア ブーケ」と比較すると、ヒストリックのティーポット(最初の写真)は丸みを帯び、ハンドルと注ぎ口は木をモチーフにするといった違いも見られます。

同商品は現在、「ヴィクトリア プレーン」、「ヴィクトリア ブーケ」、「ヴィクトリア アニバーサリー」など様々なバリエーションが生まれています。縁取りの色が異なっていたり、多色使いのヴィクトリア ブーケとは反対に単色の濃淡で花蝶紋様が描かれたシリーズ、また、絵付けをシンプルに施したシリーズなど。これらヴィクトリアシリーズの様式であるヘレンドの伝統的な”シノワズリ(東洋風装飾様式)”は様々な形で今に伝わり、この先も長く残り続けることでしょう。

■協力: クラブ ヘレンド ジャパン本店

【クラブ ヘレンド ジャパン本店から新年”福”袋のお知らせ】
2010年1月5日(火)毎年恒例となっている福袋が販売されます。本店ならではの選りすぐりの商品を取り揃えられているとのこと。この日の営業時間は11時~17時まで。
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