世界の茶生産は増加傾向(2006年のデータ)
茶の生産は、2005年の前年比4.6%増に続き、2006年も前年比3.4%と堅調に伸び、過去最高の約364万5千トンとなりました。特に中国の生産の伸びは著しい。2005年、中国はインドを抜き最大の生産国となったのですが、2006年にも中国は、前年比で9.5%も増加しました。インドも2.8%増加したのですが、中国には及ばず。
2006年における世界の生産増の、約4分の3は、中国の生産増によるものです。中国では地方の所得改善を目標に農村改革が推進されていますが、そのひとつとして生産力の落ちたお茶の木の植え替えが進められ、その成果が出てきたという結果です。一方、生産量第3位のケニアと第4位のスリランカでは、生産が減少しました。
消費の拡大のカギを握る中国とインド
主要国の消費動向 |
中国の消費量は13.6%増と大きく伸び、77万6千トンとなりました。これは、インドの、76万3千トンを僅かながら超えています。中国やインドは今後も経済の成長が見込まれているところであり、今後茶の消費の拡大も期待されます。
茶の価格動向
2006年における世界のお茶市場では、長年続いていた超過供給状態が緩和しました。すなわち、FAOの茶の価格動向を示す指標は、2006年中に、11.6%も増加しました。2007年中も6.5%増加。2008年も、2008年5月時点では、ケニアにおける政治的混乱の結果、生産が減少することが見込まれていたため価格は上昇傾向にありました。また、その時点では国際的な商品市況は、原油価格を中心に高騰していました。その後、国際的に広がった金融危機の影響から、世界的に経済が減速しているため、茶の市場も大きく影響を受けているものと思われます。
今後の動向
紅茶の世界生産量は、1996年から2006年にかけて年率2.8%で増加してきました。FAO世界茶モデルによると、2006年から2017年には、生産の伸び率は年率1.9%程度へとややテンポが遅くなると予想されています。昨年ご紹介した第17回会合の時の予測(1.8%)と比較すると、若干伸び率が高くなっています。第17回会合と第18回会合では、約1年半の違いがあるのですが、世界全体での紅茶の生産動向の予測値にはあまり大きな変化はありません。
一方、緑茶の生産見通しは、大幅に改定されています。前回、今後10年間の伸びは紅茶同様の2%程度と、ご紹介しましたが、中国の生産量の予測が大幅に上方修正され、2006年から2017年にかけて、年平均4.5%と世界の生産量が拡大すると見込まれています。10年後には世界の緑茶市場は現在の1.6倍に拡大するとことになります。
■資料:FAO「CURRENT MARKET SITUATION AND MEDIUM TERM OUTLOOK」
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