紅茶/紅茶関連情報

リチャード・トワイニング

トワイニング社の第2回目。18世紀後半に、経営だけでなく紅茶の普及に大きく貢献したリチャード・トワイニングを中心にご紹介します。

桑原 珠玉

執筆者:桑原 珠玉

紅茶ガイド

トワイニング社についての第2回目。18世紀後半に、経営だけでなく紅茶の普及に大きく貢献したリチャード・トワイニングを中心にご紹介します。

トワイニングと高価な茶


トワイニングの創業者トーマスの後、トーマスの息子ダニエル・トワイニング、ダニエルの後には妻のメアリーによってティーショップ「ゴールデン・ライオン」は順調に発展していきました。お茶を飲むということは国内に浸透していきつつありましたが、価格が極めて高いため、購入できるのは上流階級の人くらいでした。

茶業界へも貢献した4代目リチャード・トワイニング


リチャード・トワイニング氏(1749ー1824)肖像画。
1771年、メアリーの後に経営を担ったのは長男のリチャード(Richard)です。お茶を独占して扱うことが許されている東インド会社によって正規ルートで国内に入ってくるお茶は高い税金が課せられていました。よって密輸が横行し、市場に出回っている茶の大半はオランダからの大規模な密輸によるものでした。正規ルートで茶を仕入れる茶業者にとっても、政府にとっても深刻な問題となっていました。

リチャードはティーディーラーの会長として当時の首相ウィリアム・ピット(William Pitt)と数度にわたって茶税について意見を交換しました。リチャードは、茶税を撤廃し、取り扱い業者がこの歳入損失の埋め合わせ金を以後4年にわたり国庫に納入することを提案。これを受けて首相のピットは、1784年、減税法(The Commutation Act )を通過させ、茶税は119%から約10分の1となる12.5%に引き下げられました。減税法が施行される前と後でお茶の価格がどれくらい違うかトワイニング社の資料で見てみましょう。

1750年~1783年では
紅茶:ボヒー 5~8シリング(1ポンド当たり)
   コングー 5~16シリング

減税法以後、
紅茶:ボヒー 1シリング 7ペンス
   コングー 2シリング 5ペンス
(House of Twining p.45より)
(※ボヒーというのは最も品質が低いとされた紅茶、コングーは標準的な紅茶と考えられます。)

トーマス・トワイニングが開店させた「ゴールデン・ライオン」は、住所を表す番地制度ができてからは「216 ストランド」として親しまれてきました。
減税法の効果は茶の価格を下げたということだけではありません。これによってお茶の密輸は意味がなくなりました。茶の消費は拡大し、東インド会社が輸入する茶も増加しました。これまで密輸業者に支払われていた正貨は密輸が成り立たなくなったことで国内に留まり、富が外国に流出するのを防ぐことになりました。

リチャードは茶への大幅な減税に貢献した1784年から3年後にショップ出入り口の新たなシンボルを設置、さらに、「TWINING’S」 から「’」を取り除き「TWININGS」という現在まで続くブランドネームを完成させたのです。このブランドネームは現在までも使用され続け、世界的にも最も古いと考えられる屋号のひとつといえるでしょう。

■協力・画像提供:片岡物産株式会社
■関連リンク:トワイニング
■関連記事:トワイニングのゴールデン・ライオン トワイニング社についての第1回目の記事。
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