紅茶/紅茶関連情報

神戸紅茶 紅茶鑑定士インタビュー(2)

神戸紅茶 紅茶鑑定士である奥野邦夫さんへのインタビュー第2回です。神戸の紅茶文化は英国的であることがうかがえてきます。

桑原 珠玉

執筆者:桑原 珠玉

紅茶ガイド

神戸紅茶 第2回は、第1回目に引き続き神戸紅茶 紅茶鑑定士の奥野さんに神戸紅茶の特長、神戸と紅茶についてお伺いします。

自社ブランドを誕生させるまでの神戸紅茶


ガイド:神戸紅茶の歴史について簡単にお話いただけますか?
奥野さん:紅茶をメインに取り扱う食品卸の須藤信治(のぶじ)商店として1925年にスタートしました。のち、株式会社 須藤(昭和30年代)、10年くらい前にその子会社として神戸紅茶を設立。2006年4月に(追加:須藤は子会社の)神戸紅茶を吸収合併し、神戸紅茶株式会社に社名変更しました。創業当時から日東紅茶の神戸での特約店、のちにリプトンの特約店であり、工場は昭和30年代から震災の翌年までリプトンの紅茶を作っていたんです。東日本では東京の昭島で、名古屋から西は現在の神戸紅茶で作っていました。紅茶のあらゆる点を理解している自社でも製造し始め、神戸紅茶という会社名に変更して現在に至っています。

イングリッシュブレックファーストは神戸紅茶の顔


ガイド:神戸紅茶を代表する、象徴する紅茶をご紹介ください。
奥野さん:神戸紅茶を代表するといっても過言ではないのは「イングリッシュブレックファースト」でしょう。
写真左は業務用かと思わせる450g缶。神戸で紅茶を愛するヘビーユーザーご愛用です。
神戸紅茶「イングリッシュブレックファースト」は神戸のコープで10年前くらいに発売し、1週間で約6000缶(450g入り)を売った実績があります。この量は3トンくらいになります。

神戸紅茶が立ち上がるまでは自社ブランドがなく、OEMやパッキングのみしかしていませんでした。しかし、工場もあり、紅茶についてもわかっているということで、自社ブランドを立ち上げることとなったのです。「イングリッシュブレックファースト」は代表的な自社ブラントであり、神戸紅茶の顔とも言えるブランドです。

このイングリッシュブレックファーストはティーバッグから450g入りまで製造しているのですが、450g入りは神戸以外では売れないんです(笑)。450g入りイングリッシュブレックファーストを使っているのはヘビーユーザーでヘビーユーザーはミルクティを好む傾向にありますね。さらに紅茶を長年のみ続けると濃いものを好み始めるというような印象を受けています。

ガイド:神戸の人とその他の地域に住む人たちとの間での紅茶の飲まれ方に違いは見られますか?
奥野さん:神戸には英国文化が浸透しており、神戸の人たちはよく紅茶を飲みます。当たり前のように紅茶が人々の生活に浸透していくような環境が存在しているのです。神戸紅茶のキャッチフレーズに「神戸育ちのブリティッシュテイスト」というのがあるのも神戸と英国文化とのつながりから来ています。
神戸の人は紅茶をかなり消費するのでトータルな消費額がかさむ。紅茶の良し悪しが分かっているので、価値のある紅茶(品質、味と価値が見合ったもの)を消費します。紅茶はもっぱら自宅で楽しむもので、外で飲んだら損した気分になってしまうともいうほどですよ。

また、新しい商品といってもすぐに飛びついたりするより口コミの力が結構大きく、新商品も一気に販売が延びるわけではないですね。

ガイド:では最後に私たちが良い紅茶を選ぶときのポイントを教えてください。
奥野さん:これはとても難しい。
まず新鮮であること。もっとも新しく新鮮な紅茶を飲んでいるのはテイスターですよ(笑)。今年の春の新商品でご紹介したように、最終的に消費者までできる限りフレッシュさを届けるためにエージレスを入れた商品を開発しました。アルミ個包装は空気が入った状態で断気(空気を閉じ込めている)だけ。エージレスを入れると空気を吸い込んでくれ、開封するまで紅茶の鮮度を最大限に保ってくれるというわけなのです。

そして、飲まない人が大量に買うべきではないですね。あまり飲まない人はティーバッグを活用することも有効です。大いに使っていただきたい。
また、紅茶は回転率のよさそうな紅茶を買うこと。買った後は、紅茶の個性が出ているものであればいい紅茶であるといえるでしょう。

奥野さん、長時間にわたるインタビューにお答えいただきありがとうございました。
神戸紅茶のイングリッシュブレックファストは英国風にミルクを入れて濃い紅茶を飲むのが好き、という人の期待を裏切らない味です。優れた紅茶鑑定士が作り出すブレンド数も実に多く、好みに合う紅茶が見つけられるはずですよ。

■協力:神戸紅茶
    神戸紅茶株式会社 紅茶鑑定士 奥野 邦夫氏

■関連記事:神戸紅茶 紅茶鑑定士インタビュー(1)
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