大きなクマの小さなパン屋さん
2010年1月、田園都市線青葉台駅から5分ほど歩いたところにオープンしたBakery kuma(ベーカリー クマ)。わずか8坪ほどの店で、さまざまなパンを焼いているのは大熊健さん。店名は彼の名前からつけられました。オープン前のテストベーキングの時に、小豆の入った食パンをいただいたのがおいしくて、Bread Journal(2010.1.10)で紹介するや、読者の方から「どちらのパンですか?」と問い合わせをいくつかいただきました。見た目もおいしいパンだったのですね。
大納言(300円) |
大熊さんは大学卒業後、エコール辻東京で学び、小麦粉、水、塩、酵母など限られた素材でたくさんの種類のものをつくり出すパン職人の仕事に惹かれ、その道を選んだのだそうです。成城石井製パン部や町のパン店で働くこと9年半、青葉台で小さな店を開きました。
そのままでおいしい食パン
小豆の食パンは「大納言」という名前でした。生地のほのかな甘さは練乳と三温糖。ところどころに小豆が入っている、人気のパンです。しっとりと目が詰まっていながら重すぎない食感。同じ生地で小豆の入らないプレーンな角食パンもおすすめです。食パンは他に、あっさりしたハード系の「山型食パン」と、バターロール生地をよりリッチな配合にした「バターブレッド」があります。大熊さんが目指すのは、何もつけずそのまま食べておいしい食パンなのだそうです。
山型食パン(260円) |
山型食パンの生地にチーズを入れた「チーズブレッド」、ごま入りの生地にたっぷりのサツマイモの「おさつブレッド」(各200円) |
ハード系の人気の定番、リュスティック
「大納言」と並ぶ人気は「リュスティック」です。生地に20%のクランベリーやクルミを入れたものもあります。生地に含まれる水分量が多く、もちもちしているのが特徴です。 大熊さんのおすすめは、プレーンのリュスティックに有塩の冷たいバターをのせて食べること。リュスティック生地の味わいがストレートに楽しめます。先日、お客さんから1本の電話がかかってきたそうです。それは「引越してしまうので今までのように買いに来れなくなるけれど、リュスティックがおいしくて大好きだった」というご挨拶だったそうです。棚には予約のパンが取り置きされているし、一日に二度顔を見せるお客さんもいると聞けば、この、小さくても職人のいる本格パン屋さんが、早くも地域の人たちの日常に必要な存在となっていることが伺えるのでした。
リュスティック(クルミ、クランベリー各150円、プレーン120円) |
全粒粉を配合したバゲットやクロワッサン
Bakery kumaのバゲットは、どちらかというとバタールのように太めの形なので、普通に切っても、中身がたっぷり味わえます。もう一つの特徴は全粒粉。 この店のパンの生地には全粒粉を配合しているものが多く、バゲットには5%、クロワッサンやデニッシュには10%入っています。全粒粉はパンを香ばしく、味わい深くしています。バゲット(240円)、バゲットプチ(120円) |
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