ガレット・デ・ロワとは
2009年11月のガレット・デ・ロワコンテストで優勝した、神戸屋の津田宜季さんの作品 |
ガレット・デ・ロワは1月6日の公現節(星に導かれ、馬小屋を訪れた三人の博士が、キリストの降誕を祝福した日)にちなんだ伝統のお菓子です。 フランスでは年が明けるとお菓子屋さんやパン屋さんの店先にガレット・デ・ロワが並び、これを家族や友人、同僚など大切な人たちと共に楽しむ習慣があります。
バターと粉でできた何層にも重なるフィユタージュ(折りパイ生地)の中に、重厚なクレームダマンド(アーモンドクリーム)。サクサクとした食感にバターとアーモンドの香り、表面に描かれた美しい模様も味わい、楽しいひとときを過ごすのです。
2009年の夏の講習会で紹介されたピュイ・サンス井上佳哉シェフのガレット・デ・ロワ |
ガレット・デ・ロワの愉しみに欠かせないのが、中に隠されているフェーヴ。 フェーヴとはそら豆のことで、春一番に芽を出すことから、再生を意味する縁起物として始まったのですが、17世紀以降はコインに、そしてさまざまなモチーフを模った陶器にと変わっていきます。 これがあたった人は、パーティでは王冠をかぶって王様や女王様になり、その年の幸運が約束されるといいます。
フェーヴのいろいろ。手前のカルヴァドスは今年、2010年の献上式のパーティで当たったもの。 |
ガレット・デ・ロワ献上式
フランスでは毎年大統領とパリ市長に特大のガレット・デ・ロワが 献上されるそうですが、日本では東京でフィリップ・フォール フランス大使に、そして今年は19日に京都でも、総領事への 献上式が行われました。「2010年の新たな年を、また皆さまと共にお祝いできることを 幸せに思います」会長の島田進さんの挨拶で会は幕をあけました。 ガレット・デ・ロワは今や日本全国4000軒のお菓子屋さんやパン屋さんで 作られているそうです。
津田さん作、直径1メートルの特大ガレット・デ・ロワの中には5つのフェーヴが入っている |
ガレットを主賓の皆さんでカット | 津田宜季さん |
ガレット・デ・ロワを作るパン屋さんも増え、その腕も年々上がっているようです。 11月に開催されたコンテストで優勝したのは、神戸屋の津田宜季さん。過去には須藤秀男さん(当時マリアージュ ドゥ ファリーヌ)、米山雅彦さん(パンデュース)、池尾大地さん(エスプリ・ド・ビゴ)などの入賞もありました。
津田さんは普段は大阪で主に神戸屋のパンの商品開発の仕事をされています。 今年で入社5年目というから、天性の才能の持ち主かもしれません。
津田宜季さんを囲み、フィリップ・フォール駐日フランス大使、赤松広隆農林水産大臣、島田進会長他、フィリップ・ビゴさん、フランソワーズ・モレシャンさん、会の役員の皆さん、その他の受賞者の皆さん |
ガレット・デ・ロワコンテストには愛好家でも参加できるように、スーチアン部門が設けられています。同部門で入賞した岩崎律子さんの作品は、その造形美が高く評価されていました。
パーティは大賑わいだったので、わたしがテイスティングできたのは岩崎さんのガレットだけでしたが、なんとその中にフェーヴ(上記写真のカルヴァドス)を当てることができました。うれしいものですね。幸先の良い年明けとなりました。
スーチアン部門受賞の岩崎律子さんの作品 |
今後ガレット・デ・ロワが普及すれば、日本らしい現象として、さまざまな形態が生まれてくることも考えられます。そのとき、本来の伝統や文化を知って伝えることのできる、Club de la Galette des Roisの人たちの存在は、とても重要になってくることと思います。
【関連記事】
今に生きる伝統菓子 (Bread Journal 2009.8)
ガレット・デ・ロワの夜(Bread Journal 2008.11)
伝えるパティシエたち(Bread Journal 2008.9)
Club de la Galette des Rois 伝統菓子講習会(Bread Journal 2008.9)
ガレット・デ・ロワを囲んでフランス流新年の祝い(Bread Journal 2008.1)
Club de la Galette des Rois公式サイト