ポワンエリーニュの「とまらないパン」
思い浮かべれば淺野正巳シェフプロデュースのお店のパンはダンディゾンにしてもPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)にしても、ひとつひとつが十分に印象的なのだけれど、なかでも北海道の無農薬小麦キタノカオリを使った「ノールノール」というパンの、やさしい香りと味わいに心動かされました。ノールノールのクラムは薄緑がかった不思議な色をしている |
ノールノール(店で) |
このパンに出合ったのは雑誌の企画で淺野さんと対談した時で、その日の日記にガイドは次のように書いています。
”おいしいパンとは、とまらないパンだ”と、淺野さん。 とまらないパンとは、進むパンのこと。バル ア パン(ポワンエリーニュの中にあるバール)ではワインや料理も、進む、進む。
そのままでも、焼いても、何かをつけても、挟んでも、飽くことなく食べ続けられるパンです。
「とまらないパン」といったら、渋みを抑えたクルミパン「ノワ」や、クルミとみずみずしいグリーンレーズンが贅沢に使われた「ピヨトル」もそう。これは白・青カビ系のチーズや無塩バターとの相性が抜群ですが、そのままいただいても「とまらない」かもしれません。
ピヨトル |
POINT ET LIGNE【新丸ビル】
ルクールピューの既成概念に囚われないパン
ルクールピューの鈴木芳男シェフにお話を伺ったのもこの頃で、気づいたことがありました。それは従来のパンづくりにおける既成概念に囚われず、素材の必要性や形を考えてつくられている点。前出の淺野シェフの考え方と共通するように思いました。たとえば「オランジュアマンド」。ライ麦と蜂蜜が生地に奥ゆきを出しています。このパンはアーモンドが粒のまま入っているのが特徴です。「アーモンドチョコは食べ終わってもアーモンドの存在感が残る。楽しいでしょう?」と鈴木シェフ。
そして「あずきクリームパン」。いわゆるこしあんパンですが、細長い形をしています。この店では食べやすさを考えて、デニッシュ類も細長いのが特徴です。
オランジュアマンド | オランジュアマンドの断面 |
あずきクリームパン | あずきクリームパンの断面 |
ルクールピュー(2002年の記事)
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