パンとは生活そのもの
初めてのお客さんの誰もがきっとそうであるように、ナショナルデパートで、わたしは最初、色とりどりのカンパーニュにばかり気持ちを注いでいましたが、落ちついて見れば店頭にはドイツパンや普通のカンパーニュの姿も。食べてみれば、好きな味。ここでわたしは、前編の最初に書いた「ナショナルデパートは大きな色とりどりのカンパーニュを切り売りする店」というイメージが、ほんの入り口のイメージだったことに気がつきます。ナショナルデパートって、大きいのです。
秀島さんにとってのパンは、フランス人にとってのそれのように、食事パンを指すのでしょうか。
「パンとは生活そのものだと思います。 毎日食べるものがごまかされていたり、ウソであったりしては、 精神が不健康になるし、僕だと単純に泣いちゃいます。
菓子パンは否定しませんが、もっとケーキのように洗練されれば、 パン屋の地位向上にもつながるであろうに。 生活のベースとなるパンが洗練されれば、おのずと生活も洗練され、 すべてのものを見る価値基準が変わる気がします」
ドイツパンいろいろ |