異業種からパン職人に
「5回くらい断られて、最初は販売のアルバイトから入りました。朝5時から……でも楽しかったんですよね。わたしには目標があったから」 一流パン職人を目指し上京。昼はパン屋さんで働き、夜は専門学校で学ぶ日々。大手、ホテル、個人店とさまざまな職場を経験するうち、柴田さんはデュヌラルテ初代シェフ、井出さんに出会います。 2000年12月、デュヌラルテの立ち上げにスーシェフとして参加。その後二代目シェフに就任し今年、独立のため退職。現在は開店準備中です。 有名店のトップになるまで「いつもどこに行ってもいい師匠、上司に恵まれ、見て学ぶことができました。どういう環境でやっていけるかは大きいですね。師匠に認められる仕事をしよう、彼のいない日にも同じものを出せるシェフになろうと思っていました」お菓子も料理も、パンと一緒にさらっとつくってしまう松原さん。柴田さんはそのアシストをしながら話し続けます。 あと、これだけは負けないというものをひとつつくるといいですよ。きれい、早い、完売、など。それが積み重なって評価になります。そういう努力をしました」 「 そうした努力を、周りの人は見ているものです。自分を信頼してくれる人、ついてきてくれるスタッフが増えることは大切です」 トップに立つ人になる目標があった柴田さんは、そんなふうにチームワークについてもしっかりと考えていました。 「パンは決して一人では焼けないので、サポートするスタッフがどうやったら仕事が回るか、シェフがどうしたら仕事しやすくなるか、職場の環境をよくすることを常に考えていました 」 パン職人の仕事は女性にとって、体力的に大変なこともあります。柴田さんは言います。「男性に負けないためには、頑張りすぎないことだと思いました。だから続けてこれたんですね。自分の力の範囲をわかっておくことが大事。全力では長期は続かないものです。7~8割の力で、体力的に難しいことは仲間に声をかけ、頼めることは頼むということです」 柴田さんの「今」はいつも濃く「未来」を見据える目線はしっかりとゆるぎなく、その職人像には心動かされるものがありました。 次回はパンの職場における男女の違い、イメージをかたちにするということ、そしてもうひとりの素敵なパン職人、松原裕吉さんのパンと料理をご紹介します。 人気シェフが次の扉を開く前の話【2】 |
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