やさしい名前に込められた想い

田園都市線「あざみ野」駅前から歩くこと数分、 住宅街に入ったところに穂の香はあります。

どこかやさしい響きを持つ穂の香という店名。オーナーシェフの吉田学さんによれば、「ほのかに麦の香りがするパン、甘味や塩味もすごく甘いとかすごくしょっぱいではなくて、ほのかに感じられるようなパンを思って」つけたのだそうです。その名の前に"boulangerie"ではなく”Pain fermier”とあるのは、「農家のパン、という意味です。ヨーロッパの農家のお母さんが家族のために作るパンで、派手さはなくてもおいしさ、やさしさがつまったパンをつくっていきたいと思っています」と吉田さんは教えてくれました。

店の前のディスプレイには暗くなると明かりが灯る。外側はプレッツェル、内側は食パンの形のドアノブは自作

小麦粉から起こした自家製酵母のパン
プレーン1/2 390円、くるみ1/2 600円、いちじくとくるみ1/2 680円

取材にうかがったのは、ちょうどハロウィンの頃。店の前には大きなカボチャのランタンが置かれていました。黒板には「ようこそ穂の香へ 自称吉田パン研究所へ」との文字。吉田パン研究所?と思いながら手をかけたノブはプレッツェルのかたちで、ドアを開く前から楽しい気持ちになりました。

さまざまな楽しみのある店内

中央の吊り棚も吉田さんの自作。さまざまなパンが並ぶ
アーティストによる銅のオブジェにもパンが載るパン関係の専門書や絵本が並ぶ本棚の向こうはカフェスペース
カウンターも自作オーナーシェフの吉田学さん
吉田さんはドンク、自然食品店ブレドール、ブロートハイムを経て3年ほど前に独立。 同じパン職人で今は専ら接客を担当する奥様の由華里さんと共に、ヨーロッパの田舎の温かい雰囲気を持った店をつくりあげました。
吉田パン研究所というのは、ふたりが自分たちの好きなパン、心地いいと思うサービスを究めていく場所を意味するようです。

ヨーロッパ各地でパンを食べ歩き、その印象を再現する吉田さんですが「今年の休みはこれを作っていたので行かれなかった」というのがカフェのカウンターテーブル。そのカフェでは焼きたてパンのみならず、パンの本を閲覧することもでき、コンサートや詩の朗読会が開催されることもあります。 「大人向けも、もちろんやりますよ。わたしたちが楽しめるものを」と由華里さん。季節の催しは町の住民を楽しませているようです。 クリスマスにはホットワインとクロワッサンをふるまい、サンタの格好をした吉田さんが子供にパンを配ったことも。なんて楽しいパン屋さんでしょう!

次のページでは、そんな 穂の香のパンについてご紹介しましょう。