パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

ベーカリーワールドカップ日本代表の焼くパン トラン・ブルー(飛騨高山)

来年パリで開催される製パン技術を競う世界大会、クープ・デュ・モンドに日本代表として出場する成瀬さんは、飛騨高山のトラン・ブルーオーナーシェフ。世界が注目する晴れ舞台に立つ彼のパンと店を取材しました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

日本を代表するパン職人

成瀬正シェフ 2002年パリで開催されたベーカリーワールドカップ、Coupe du Monde de la Boulangerie(クープ・デュ・モンド・デ・ラ・ブーランジェリー)で、日本のパン職人選手団は初優勝をしました。日本の製パン技術が世界最高水準であることが 認められたのです。

この大会は各国を代表する職人3名がバゲット&パン・スペシオ、ヴィエノワズリー、飾りパンの3部門に出場し、技術や芸術性などを競うもの。

次なる2005年の大会に日本代表選手としてヴィエノワズリー部門での出場が決まったのが、トラン・ブルーの成瀬正シェフ。
個人経営の地方のパン屋さんの出場は大会初のこと。どんなパン屋さんなのでしょうか。

岐阜県、飛騨高山にあるトラン・ブルーを取材しました。

トラン・ブルーのヴィエノワズリー

ヴィエノワズリーとは、クロワッサンやデニッシュなど折込み発酵生地、あるいは卵、砂糖、バターが入ったブリオッシュなどの発酵生地で作られたパンのこと。
トラン・ブルーではそのようなパンが全体の約半分を占めます。

「好きなパンはクロワッサン。昔、美味しいクロワッサンを食べたことがあって、どこのパン屋さんのだったかな、今思うとそれが本当に美味しかったかはわからないですけれど。それからクロワッサンやバターを折り込んだパンを作っていきたいと思ったのです。」

成瀬さんは大正元年創業のパン卸売り会社の四代目。(初代はそれこそ和菓子屋のような感じだったそうですが) 市内の学校給食、病院、市役所等へパンの卸売りをする家業を営む一方で、1989年にOPENさせたトラン・ブルーで、自分が本当に食べたいと思うパンを焼いています。異なるタイプのパンたち。トラン・ブルーもまた、レストランやホテルなど別の顧客に卸売りをしています。

桃のペストリー/オランジュ
トラン・ブルーに行ったからには、このパンを買わなくちゃと思わせるのが、ケーキのような美しさで目を惹きつける季節のペストリー。夏はレモンシロップに漬けた飛騨桃を使用した桃のペストリー、コアントローでマリネしたオレンジを使ったオランジュなど。秋からはイチジクのペストリーが並ぶそうです。

洋菓子の経験はないという成瀬さんですが、こうした果物のペストリーの繊細さは洋菓子さながらです。洋菓子との違いは主役がパンであること。甘くないクロワッサン生地は、薄い層が一枚一枚堅くパリパリとしています。出来たてをいただきたい逸品です。

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ブリオッシュやクロワッサン、ハード系のパンをご紹介します。
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