魅力的なパンを作る職人は必ずと言っていいほど、パン屋ではなく菓子職人や料理人から素材を生かす組み合わせを学ぶ ようです。山?シェフもまたそのひとり。「本物の材料を使えば使うほど、良さを引き出す技術が大切です。せっかくの良い材料を無駄にしないように。」とシェフは言います。 天然酵母を使用したカンパーニュ、バゲット・ルヴァンとフランス産オーガニック石臼挽き小麦のカンパーニュ、ファリンヌ・ド・ムール(ブランシャス) 彼がグランシェフを務める名古屋のブランシャスと福岡のジェラール・ミュロで共通する特徴は、たくさんの種類の材料を使うということ。 小麦粉はなるべく石臼挽きのものを約12種類、バターも塩も卵も数種類から その商品に合った材料、製法で独自のものを作るように心がけているそうです。 発酵はポーリッシュ(液種)法や地元の旬の果物を使った天然酵母で。 夏野菜を練り込んだフォカッチャ、レギューム(ブランシャス) 面白い話をお聞きしました。 ワインやチーズの消費が少なく、ハード系のパンが売れないとされる名古屋地域では、 お客さんに美味しい食べ方を伝えるために、ベーコンや野菜などの副材料をパンに入れて提案するのだそうです。 それをすることでゆくゆく、お客さんはパンと一緒に食べるものを考え、自分で用意することができるようになる。 結果的にプレーンなハード系のパンが売れるようになる、ということ。パンに託されたシェフのメッセージ。素敵な流れではありませんか。 清見オレンジなど天然酵母を使ったフルーツブレッド、ルヴァン・フリュイ、リマーニュ地方の石臼挽き小麦粉を使ったプチカンパー ニュ、リマーニュ(ジェラール・ミュロ) 「地元の食材をなるべく使用し、身近で生産者が見える食材が基本です。 手間を惜しまないことで差別化商品ができると考えています。 また、おいしさの他に楽しさ、遊び心も必要ですよね。お客さまが来て、楽しく買い物していただける演出や空間。 いつ行っても新しい発見ができる店と商品作りが大切だと考えています。」 手間と時間をかけて、小麦粉、酵母、水と会話しながら作られるパン達。そこにこめられたシェフの想い。 地域性によって少しずつ素材の配合や種類を変えることはあるとしても、 グランシェフが同じである限り、店の精神は共通しているのです。 地域食文化と嗜好の関係は興味深いものです。いつか店を訪れて確かめてみたくなりました。 【山?豊氏がグランシェフを務める店】 ■ブランジュリー ブランシャス 三越栄店 名古屋市中区栄3-5-1 B1 電話 052-252-1280 10:00~20:00 不定休 ■ジェラール・ミュロ 福岡店 福岡市中央区天神1-7-11 イムズ B1 電話 092-733-2110 10:00~20:00 不定休 1 美味しいパンに必要なもの2 サンドウィッチ 3 パン作りへの想い、ショップデータ 前のページへ123※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。