奥本製粉主催の製パン技術講習会が4月に大阪と東京で開催され、ブランシャス(名古屋)グランシェフ、山?豊氏によるパンとサンドウィッチの製作実演が行われました。 山?シェフとパティスリーマディ代官山の松原シェフ(手前)。 講習の間、何度も耳にした言葉があります。それは「必要ないものは使わない」ということ。 ハード系のパンは発酵種(あらかじめ発酵させておいた生地)を混ぜて作るので、 当然のことながらイーストフード、ビタミンCなどの添加物を使わない。 発酵種は万が一イーストや塩を入れ忘れても修復できるほどの力を持つといいます。 生地を傷めるので、モルダー(成形する機械)は使わない。 ばんじゅう(生地を入れるケース)に打ち粉をしたり発酵に油を使えば余計な味となり、美味しくないので使わない。 すべては美味しさのために、以上のような提案がされました。 ポーリッシュ法で焼くバゲット・カンレミとカソナードやアルペンザルツを使ったクロワッサン・カンレミ。クロワッサンは関東では色濃くパリパリにするのに対し、関西は色を薄くふんわり作ったほうが好評なのだそう。 美味しいパンに必要なものは質の良い材料です。 まずは小麦粉について、受講した内容を以下にまとめてみました。 最近の粉はたんぱくを高く灰分(繊維・ミネラル分)を低くし、小麦本来の味より食感を重視した製粉が主流になっています。 吟醸酒造りの精米と同じで、中心部分だけを使用し、雑味が極力出ないような製粉をしているのです。 ボリュームが出てきめ細かくソフトに焼きあがりますが、長時間発酵に耐えられないので短時間で作ることになります。 逆に石臼挽きの小麦や灰分の高い小麦粉では、発酵を充分に取らないと美味しいパンができません。 最近やっとこういう粉が支持されるようになり、製粉会社でも販売されるようになってきました。 濃い味の粉で発酵時間をとるほうが旨味のあるパンができます。 ライ麦入りで表面にケシの実をつけたバゲット・ノワール バゲットに使ったカンレミ粉は、良質の小麦産地としてフランス国内でも評価の高いリマーニュ地方・クレルモンフェランで栽培される小麦の中で、最もフランスパンに適していると言われる希少品種です。サックリとしたクラスト、クリーミーな色合いと口溶けの良いクラムの、野性の香り高いパンができます。奥本製粉では安定した供給をしているそうです。 ローストしたグラハム粉、ヨーグルト入りのパン・オ・ブリ・エ・ヨーグル 1 美味しいパンに必要なもの2 サンドウィッチ 3 パン作りへの想い、ショップデータ 123次のページへ