うどんツァーという言葉をご存知でしょうか。うどんを食べ歩くことを主とした旅のことです。(四国という場所柄か、うどん行脚、うどん巡礼とも呼べます。美味いうどんを追い求める旅のことです)
1990年代初め頃から香川の讃岐さぬきうどんを取り巻く環境からスタートしたムーブメントです。今「うどん」に関心を持つ方は以下3つのキーワードのどれかが引き金になっているはずです。
恐るべきさぬきうどん 麺通団 ホットカプセル刊 1993年
うまひゃひゃさぬきうどん さとなお コスモの本 1998年
麺聖のうどんグルメの旅 麺聖 1996年 HP開設
香川の情報誌「タウン情報かがわ」の讃岐うどん穴場探訪記「ゲリラうどん通ごっこ」が、ブームのきっかけになっています。約700軒ある香川県のうどん屋、製麺所の中から美味しいうどん屋を探すレポートは、筆者のキャラクターと独特の文体で人気コーナーとなりました。単行本「恐るべき讃岐うどん」が出版されると反響は大きく、本を片手にうどん屋を回る集団が現れたのです。『恐るべきさぬきうどん』2 3 4と続刊が出るたびに、この動きは大きくなり県外からの「うどんツァー」の人々も多くなりました。
「うまひゃひゃさぬきうどん」の出版は、さとなお氏のWEBのコラムが発端です。超人気サイトですから影響は多大です。ここでうどんに目覚めた人は多いでしょう。インターネットからうどんにはまった人はここも聖地だと思います。麺聖のWEB「うどんグルメの旅」は今や欠かせない讃岐ガイドです。全ての店を食べ歩いたといっても過言でない情報と讃岐うどんの博識はなんと言ってもすばらしいものです。
今や年末年始、ゴールデンウィーク、夏休みは地元の人も目をむくほど、大勢の旅人が押し寄せるのです。これらのうどんツァーの人々を「うどん巡礼」とも称することもあります。昨年は88箇所のうどん屋さんを選定して全てを巡礼させる企画も大成功を納めています。そして現在その企画の第二弾も開催中です。なにやらマニアックな話となりそうですが、香川のうどんはもともと地元密着型です。100円のうどんが旨か旨くないかということに目くじら立てることもありません。
しかしこの1杯100円から数百円のうどんを食べるために交通費・宿泊費をかけて出かける人々は何に魅せられたのでしょう。一日食べてもせいぜい15杯でしょう。(・・・それでも凄い)数千円のうどんを食べるのに数万円の旅費をかけるわけですから、凄く面白いことがあるはずです。ある人には人情であり、旅情であり、うどんの品質や味であったりするわけです。そういう人々が予想以上たくさん全国にいるのです。そしておいしいうどんが人々を惹きつけているのです。
昨年暮れに「恐るべきさぬきうどん」(新潮社Oh文庫)は文庫化されました。讃岐うどんの秘密はついに全国に公開され、全国の讃岐うどん店やうどん店に少なからず影響を与えました。東京近郊の讃岐うどん店を回るグループ、富士吉田のうどんを回るグループ、加須のうどん屋、関西うどん、名古屋うどんにも動きは見えています。多くの「うどん情報」がインターネットを通じて発信されています。その面白さを体験してみませんか。
うどんツァーに出かけてみましょう。