ラングスティーヌのロールにキャビアを
小さなアミューズと共にバドワを。シャンパーニュをすぐに飲み干すと、次は白ワイン、Rully 1er Cru La Pucelle 2005 Domaine Jacqueson。まったりした腰のあるシャルドネで樽の香もほどよく効いている口当たりのいいワインが運ばれる。三ツ星レストランなので値段など気にせず?メニューの中からアラカルトで選んでいく。要は食べたいものを伝えると、私のお腹のすき具合に合わせて適度な量にコントロールして出してくれるとのことだ。怖さと楽しさがなんか同居しているようで面白い気分になる。
このクラスのレストランでは役割分担は完全に分かれており、オーダーを取る一番重要な仕事は給仕長、料理の上げ下げと、料理を運ぶ人、ワイン担当と全部分かれているのが特徴だ。
香り高いブイヨンは記憶に残るもの |
まずはスペシャリテでもあるラングスティーヌのロールにキャビアを載せた小さいけれどとても贅沢な逸品。下には生クリームを使った軽いナージュが敷かれる。さらに、そのブイヨンで作ったスープ。このスープが凄まじい。ブイヨンだけではなくほのかにジンジャーの香も。魚介類のエッセンスがすべて詰め込まれたこの小さな料理はフランス料理が誇りに違いない。わずかな量のスープだが、気を失うくらいの旨味が身体全体に拡がり、そして染みわたる。
次はオセイユのソースが添えられたグルヌイユのフリットが2つ。これはシェフからのおまけだそうだ。カエル料理は日本ではほとんど見られないが、ぷりっとした肉質がたまらなく食欲をそそる。スパイスを効かせるとビールのおつまみにも最高だろうとか考えながら、次の料理を待つ。
肉厚な食感がふくよかな味わいを生み出す |
鶏の腎臓、ロニョンとラヴィオリのクリームソースに鳥のだし汁を加えたところに肉厚のオマールも2つ添えられる。この辺りからかなり濃厚な気分になってくる。ソースが二重に重なり、それもメガトン級の重い爆弾が炸裂するかのような気分だ。いや、言っておくが重厚すぎて食べ疲れするということではない。重すぎて重すぎて旨すぎるのである。
決め手はソースにある |
ワインはデカンタージュされた07年のモレサンドニを。ドメーヌはTaupenot-Marme。柔らかな味わいが濃厚なクリームソースと一緒になるとお互いがすごく引き立つ、とソムリエが話す。私についてくださったソムリエは、ちょっとずんぐりした方で、ワインの抜栓の仕方、デカンタージュ、ボトルの持ち方から注ぎ方まで丁寧でまったく無駄がない。ワインは料理と同様に、思っている以上に大切にされなくてはいけないものだ、ということを改めて知るいい機会になった。