海辺と丘の町モントレイユへ
パリ北駅は地下鉄との国内国際路線が入り組む大きな駅。ベルギーやドイツなどに出掛けるときの起点になる駅で国際色豊かな駅でもある。何度も利用しているので大丈夫だろうとタカを括っていたが、高速メトロRERから迷うのなんのでやっとホームと列車を発見し、乗ったらすぐに発車。アブナイアブナイ。約2時間でノール・パ・カレ地方エタプルに着く。ノール・パ・ド・カレ地方というとベルギーに隣接する酪農と農業が盛んなところ。しかし、著名な観光地がないからか(知らないだけかもしれないが)日本ではマイナーなエリアかもしれない。
城壁の周りは牧場がパノラマのように拡がる |
ここから車で15分位だろうか、モントレイユに向かう。オーヴェルジュ「ル・グルヌイエール」は通りの名前から取ったようだが、日本語に直すと「カエル」。日本ではカエルを地名にしたり、何かに使うことは少ないがフランスでは日常的な食材でもあることから、グルヌイエールという名前は結構あるようだ。ワインでいうとシャブリのグランクリュにその名前を見つけることができる。
エタプルからタクシーで12キロ。12キロ乗って2500円だから日本に比べれば安いかもしれない。タクシードライバーに「グルヌイエールで働くのか?」と聞かれたがこの辺ではかなり旨いレストランとして知られているようだ。17時半頃にホテルに到着。小さな平屋建てのオーヴェルジュだ。部屋は4つ、どれも緑を基調とした田舎の旅籠といった感じのこじんまりとした部屋だ。
こんないい天気の日に部屋でごろごろしているなんてもったいない。散歩に出よう。レストランの前に小さな川が流れており、釣り人が何人か糸をたらす。少し先の丘の上に放牧されている牛が見える。その向こうには城壁が見える。レストランの前の道を進むと城壁までの小道とある。それに従い進むと小さな森の中に入っていく。木々の香りがかなり強く、雨の後の強い日差しで植物が強いエネルギーを発散しているのかもしれない。森林浴とは言うがこれまでの香りよりもかなり強く、そして心地よい。
小さな小川にかかる柳に光が毀れる |
丘の上からの景色は「絶景」と呼ぶに値する。後ろに城壁があるので300度ほどのパノラマ世界だ。牛はのどかに草をついばみ風は雲をゆっくり流す。鳥の声はあらゆるところから響き渡り、私は陽のあたる丘の上でしばし立ちすくむ。
まったくノーガードな場所でこれだけ美しいものを見ることができるとは!
ブルゴーニュの小さな村の町並みも美しかったが、ここも決して劣らない。小さな家に美しい緑と花畑。「美しさ」という点ではどうしても日本はヨーロッパには残念ながら勝てない。
モントレイユの街並み |
ディナーの前にオーナーシェフのアレックスと少し話をした。2009年3月のフードフランスで初めて会った時のままのエネルギーだ。「どうだい、ムッシュシマ、調子はどうだい?!」
気さくでエネルギッシュなアレックスとシャンパーニュを飲みながら |