フレンチ/東京のレストラン

KEISUKE MATSUSHIMA(神宮前)

2014年3月1日~3日までモンテカルロ・ベイホテル&リゾート」の総料理長マルセル ラヴァンを招聘し、華麗なる地中海料理を初披露。ニースと東京を料理で繋ぐ松嶋啓介の料理は静かなエネルギーと共に研ぎ澄まされていく。ぶれない「軸」を持つレストランは今日も美しさがある。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

モンテカルロSBMのホテルのひとつ「モンテカルロ ベイホテル&リゾート」の総料理長マルセル ラヴァンを招聘し、華麗なる地中海料理を日本で初めて披露します。詳細はこちらをご覧下さい。
 

松嶋啓介の姿勢

ニースでミシュランの星を持つ松嶋啓介氏がオーナーでもあるこの店はそれこそ開店時はそこそこ話題にはなったレストランだ。昨年夏に記事を書いたが、それなりに美味いが記憶に残る力強さがいまひとつという印象があった。
エントランス
夏の夜は長いがその分夕暮れの心地良い明るさが楽しめる

松嶋氏とは面識はなかったが、フランス大使館でのパーティーで紹介されたときにそのことをはっきりと伝えてみた。自分の店のことについてネガティブに伝えられることほど面白くないことはないだろうが、彼は真摯に話を聞き、そしてその理由について慎重に話し始めた。

彼は「アツさ、根性、夢、満足していない、高いレベル」と言った飾りのないシンプルなワードを使いながら、同時にレストラン経営の楽しさ、困難さを淡々と話す。当初は小生意気な印象があったが、低く構えてピンポイントでパスを繰り出すような鋭さがある。確かに迎合していては世界有数の観光地ニースでビジネスを成功させることなどできるわけがない。

その後、開店時のシェフが代わったと聞いた。現在の静井弘貴氏はニース時代に松嶋氏と共にミシュランの星のもとにいた、いわば同じ釜の飯を喰った仲というところだろうか。
シェフズテーブル
キッチンに隣接するシェフズテーブルは4名まで

松嶋氏の目指す料理がどこにあるのかを正確に理解し、それを確実に継続して実践できる料理人であることがこの東京の一等地で厨房を預かる最低条件であるに違いない。

レストランアイが東京および近郊の素材を使って地産地消といった、たいして意味のない言葉で表現されるとしたら、それはきっと食に無知なマスコミ向けであるに違いない。

レストランは当たり前だが、料理のクオリティ、サービス、空間が三位一体になって初めて成り立つ。松嶋氏はそれを理解した上で総合的に顧客に「感動を届ける」という言葉に集約する。
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