トマトのガスパチョ
土佐高知の食材を使った料理は、総じて味わいのバランスが取れたBuzzならではのものと言っていいだろう。「土佐はちきん地鶏」とフォアグラを高知茄子で包んだガランティーヌは食感の妙を楽しめる前菜。もっちりとした地鶏とねっとりとしたフォアグラのテリーヌが口の中で溶け合う瞬間に高知とフランスの食材が合体する。食感が楽しいさっぱりとした前菜だ |
トマトのガスパチョは凝縮した蜜柑が味わいが特徴だ。高知は6月から8月にかけて気温が一気に上昇するが、夏が旬のトマトもそれに合わせて平野部から山間部へと生産される畑が移動していくという。この一皿はさっぱりとした夏らしいガスパチョの味わいに奥行きの深さと力強さをもたらし、舌の記憶に残る料理に仕上げている。これなら食材の特徴と魅力をかなり高いレベルで引き出しているといっていいだろう。
意外に濃厚な味わいだ |
鰻の赤ワイン煮込みはフランスはリヨンの郷土料理として有名だが、ここではポワレしたビーツにエピスの風味を吹き込み、新しい味わいを実現している。特にソテーされて鰻と共に軽く煮込まれたフォアグラの質感は非常に高く、この料理が1850円という値段を考えると恐ろしくコストパフォーマンスがいい。
この料理はぜひオススメしたい |
メニューを見ると、土佐鰹の炙りや清流四万十川の鮎のベニエなど、相当に考え抜かれたメニューが並ぶ。同時に合わせるべきグラスワインなどが表記され、〆には土佐の銘酒、司牡丹の特別純米酒の姿もある。
高知の料理を頼まなくとも、おつまみは500円から。ジャガイモのグラタン「ドフィノア」は800円。黒板メニューも充実しており、東京駅近辺で軽く飲んで何か食べていくか、という時にはオススメできる一軒か。
食材にこだわるレストランはもはや当たり前の時代になった。さらにこだわるとしたらどこになるのか、そしてそれが本当に美味しいのかどうか。Buzzはこれからも継続して「地方の食材」に一気にスポットを当てて「旅」を続けるという。料理人は多くの経験を積むことになるだろう。顧客はその気になれば知らなかった食材や産地を知ることに繋がる。
店内のところどころに龍馬の言葉が展示されている |
店内には「龍馬伝」の題字をお書きになった紫舟氏の龍馬にちなんだ「書」が展示されている。中でも「生き抜く」という言葉はかなりの迫力だ。作品には強いエネルギーを感じるが、今回の土佐の食材を使った料理も、その書に負けない力がある。
■Brasserie & Wine cafe Buzz
千代田区丸の内2-4-1 丸ビル 5F
03-3240-0103?
JR東京駅 丸の内中央口より徒歩1分
[月~土]11:00~23:00(L.O.22:30)
[日・祝]11:00~22:00(L.O.21:00)
土佐食材のフェアは8月末まで。
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