オー・リヨネ（フードフランス・ビストロ）(2ページ目)

肉厚のタラを鉄鍋でソテー

身の厚い平目のグルノーブル風焦がしバターソースのソテーに不断草のグラタン仕立て。。ブノワで扱う魚は常に身が厚いのだが、今回の平目も相当な極上品に違いない。ケッパーとレモンを重ねた焦がしバターソースは最近はたんと見かけることは少なくなったが、このかつては一般的だったソースはこれからの時代見直されてもいいかも知れない。
残念ながら豚ほほ肉の白ワイン煮込みは、白ワインの個性が強すぎて肉の旨味が消えてしまったこと。その分、ルクルーゼの鉄鍋でソテーされた肉厚のタラは、この日一番の料理。敷かれたジャガイモがこれまた食欲をそそり出す。なべ底に残ったソースが実にもったいなく感じたので、そこにご飯を入れて軽く煮込むと極上のリゾットになるに違いないと思いつつ、これだけ、それもすべて胃袋に入ると満腹感を飛び越して身体も心も究極のパリ気分。
ビストロと言っても料理の出し方、見せ方はいろいろあるがここはレストラン仕様でサービスされる。大皿でどっかんと出てくる料理ではない。王道を行くビストロ料理だが、現代風に素材を適度な火入れで、ソースは軽めに仕込まれた『ネオ・伝統料理』と受け止めたい。

フランス人シェフが日本で繰り出すビストロ料理は大味でボリューミーなことが多いのだが、パリのビストロノミーは繊細な日本仕様になっているようにも感じる。

帰りがけにシェフのフレデリック・テブネ氏から少し話を伺った。初めての来日になる彼はフランスの中心部、オーヴェルニュ生まれ。天然水のボルヴィックで有名なところだ。子供の頃、ポトフやコション、ソーシスン、サーモン、そして数多くのチーズに囲まれた食の記憶を持つ。オー・リヨネのシェフとしては3年の経験を積み、レストランには日本人も数多く訪れるという。
雑談の中で、彼は「パリで日本食は食べたことはないなあ」と話す。理由を聞くと「だって日本人が作っていないからねえ」と。日本では本場と変らない、いや、それ以上のフランス料理があるが、今の時代のフランスに「まっとうな日本料理」がまだ少ないことに軽く衝撃を受けたのであった。

6月10日から始まった『フードフランスビストロ』。手頃な値段でクネルや鉄鍋ごとサービスされるタラのソテーを食べに行く価値は十分ある。こなれたサービスのコンビネーションも心地よく感じるだろう。

■フードフランス＠ブノワ（青山）
予約電話：03-6419-4181
東京都渋谷区神宮前5-51-8　ラ・ポルト青山10F
地図
開催期間：2010年6月10日（木）～6月15日（火）
営業時間
ランチ 11:30～14:30（LO）3600円/4800円/6000円（税サ込）
ディナー17:30～21:30（LO）6000円/7200円/8400円（税サ込）
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