驚愕の4000円コース
もはや誰も驚かないであろうスモークサーモンにしても、ほのかなスモーキーさをしたためる逸品。バカラのヘビー級シャンパーニュグラスに注がれるミシェル・ブロカールはマニアしか知らないレアな泡。最高のグラスに注がれる無名ながら個性的なシャンパーニュにこのレストランの楽しさの片鱗が隠されている。こんなに重いグラスも初めてでした。 |
バカラ最高のグラスでいただくシャンパーニュ。リーデルでクリュッグを飲むよりバカラで無名のシャンパーニュを飲むほうが後々の薀蓄にもぴったりくるではないだろうか。
契約農家から届く様々な野菜のアンサンブル。そこの主役はマリネされたオナガ鯛だ。そこに少しのスパイスが添えられ、自社輸入ブランドのオリーブオイルと組み合わされる。
新鮮野菜にさり気ないスパイスがいいアクセントになる |
ワインはミネルヴォアの白(Domaine Rolet)を。ハーブの香りっぽい個性的な香りとスパイシーな味わいは料理も引き立てつつ、自らの主張も忘れない。これはボトルで頼んでじっくりと楽しみたいワインだ。その他自社輸入ならではのワイン通にウンチクを語らせないワインがグラスで用意される。ここは美人ソムリエールの助言に従い、黙って料理と合わせたほうがいいだろう。
マネージャーのソムリエール、村田歩さん |
魚料理は身の厚いホタテと真鯛のポワレのブールブランソース。鮮度、ソース、ボリューム、そしてソースの完成度の高さに眩暈がしそうな料理だ。これも素材にソースとスパイスが微妙に加味され、言いようのない「料理」に仕上げられる。
シェフの腕はかなり高いと見た |
メインディッシュのアンガス牛。岩手は短角牛を髣髴とさせるような赤身の旨さが強く記憶に残る。北海道で僅かに生産されている希少な牛肉だ。赤身の色やきめ細かさを見る限り、極上の鹿肉かしらと錯覚すら覚える。
北海道は早来町産の希少な肉 |
奇をてらう料理はない。しかし、素材と調理法、ソースの組合せでアンルベルならではの料理に仕上げられる。実に緻密だ。そして味わいにアクセントをつけるためにさり気なくスパイスを添えるのも特徴。ネットでの評判もこの時代としては恐ろしく少ない。要はまだ誰も知らないといってもいいレストラン。銀座の人気店を食べ尽くしたグルメは、次はここだろう。
立地、インテリア、カトラリーすべて「一流」。ティーカップは有田の磁器でこれもアンルベルのオリジナル。かつての銀座なら、そこに値段も一流でないといけない時代があったかどうかはともかく、ここは恐ろしくリーズナブルだ。なんと料理のコースは前菜、魚と肉料理がが付いて4000円から用意されている。
個人的にも欲しくなった有田の磁器 |
店の使い方としてはカウンターでひとり、もしくはカップルでちょっと贅沢したいときに効果的。深夜4時まで開いているのでワインと前菜だけでも楽しめる使い勝手も良さも魅力的だ。酔いが回る頃にはこのレストランのテロワールに気づく人も多いのではないだろうか。パブリックではなくサロン的な雰囲気に浸りたいときに押さえておきたい一軒だ。
■アン・ルベル
中央区銀座8丁目 8-7 第3ソワレドビルB1
03-6215-8678
東京メトロ 銀座駅A2出口より中央通りを新橋方面に徒歩5分
JR・東京メトロ 新橋駅 銀座口 徒歩5分
地図
ディナー
4000円、6000円、8000円、12000円、その他アラカルト
月~金 18:00~03:00(L.O.)
土 18:00~22:00(L.O.)
いずれも税込、サ10%別
電話番号: 03-6215-8678
定休日: 日祝
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