新しいブッフ・ブルギニオン
ディナーメニューのメインディッシュは「ブッフ・ブルギニオン2000年バージョン」。ほんのりと甘さを感じる赤ワインソースとニンジンのピュレ、そしてカリッと揚げた生ハムが添えられる。これも見た感じなんてことない料理に見えるかもしれない。赤身肉に軽やかに纏わりつくソースふたつ。そこに塩味の効いたハムのチップスが味覚をぎゅっと締め付ける、それも大好きな人に抱かれるように。ディナーメニューに組み込まれる |
仔鴨のローストに添えられるは金柑のソース。これがまたいい形でレアな鴨肉を引き立てていく。敷かれたリゾットもいいアクセントになっている。仔鴨のクオリティももちろんだが、実に滋味深く感じるのはそのソースのせいなのだろうか。
ランチメニューに組み込まれる仔鴨のロースト |
普通に見えて普通ではない仕掛けが盛りだくさん。シェフはこの料理を作っていて楽しいだろうなあ、と。それは食べている私たちがとても楽しいと感じる料理だからだ。そして全体のバランスがとてもよく、郷土色をふんだんに盛り込みながらの緻密なメニュー構成になっているからに他ならない。
デザートも手が込んでいる。ババの香りを拡げるラムは強烈だ。栗のピュレを挟んだ「コンク-東京2010年バージョン」も甘さの穏やかな広がりに食後の満足感はさらに高まっていく。一緒に運ばれるショコラクリームは濃厚、いや、濃厚に感じる。しかし、これがまたほんとうに旨い。
フランスのエスプリたっぷりのババだ |
シェフのエルヴェ・ビュセは初めての来日だ。マダムはどうしているの?と聞くと、「もちろん一緒に来たけれど、今は買い物か何かに行ってしまったかな」と笑う。今回のフードフランスのあともしばらく日本に滞在する予定だと聞いた。考えてみるとフランス南西部の観光地とは言え、今はオフシーズンか。お互いの時間の関係で話を聞く時間は短かったことが残念だ。
これはランチのデザートとして用意される |
さて、毎回刺激的な料理が楽しめるフードフランスは今回が最終回。しかし、フランス料理の「今」を伝える活動は形を変えてやってくるようだ。正式に決定したわけではないが、パリで流行るビストロ料理の今を日本で表現する準備が着々と進んでいると聞いた。
これまで4年間様々なフランス料理の今を見てきた。どの料理人も個性的だったが、圧倒的に素晴らしかったのはコルシカ島からやってきたダビデ・ビセット。彼の料理はほんとうに強烈だった。ここでもう一度リマインドしたい。そして、最終回だからというわけでは決してないが、今回のエルヴェ・ビュセの料理もだ。郷土の日常的食材を上品に組み合わせながら、ソースにはしっかりと力を込めて皿を彩る。これはここ最近の日本における新しいフランス料理の流れにいるレストランには必ずや参考になるはずだ
3月9日(火)まで続くフードフランス。残り時間はあとわずかだ。
■フードフランス@ブノワ(青山)
予約電話:03-6419-4181
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10F
地図
開催期間:2010年3月4日(木)~3月9日(火)
営業時間
ランチ 11:30~14:30(LO)8400円(税込サなし)
ディナー18:00~21:30(LO)15750円(税込サなし)メインが一品だけの12600円コースもある。
詳細はこちらを
いずれもシャンパーニュ・ローラン・ペリエがグラスでサービスされる。
フードフランスの公式ホームページはこちら
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