蛤の蒸し焼き
ディナーはヴィラ・デル・ソル2階の「南葵文庫」で用意される。この日はシェフお任せで魚介類のみでのコース仕立てを楽しむことに。最初の前菜は地元谷口農園のカリフラワーや西洋葱などのガルグイユサラダにパッションフルーツのドレッシングを纏う。シャンパーニュの泡立ちとパッションフルーツの爽やかさが夜の波の音に重なる。都心から離れ、ゆっくりとした時間の中ではじまるディナーに気持ちも緩む。
ワインは味わいのしっかりとしたサンセールを |
次なる前菜は蛤の蒸し焼き。とてつもなくビッグサイズの蛤を海水だけで蒸した料理だが、黒い塊で現れたなんともグロテスクなアピアランスに先ずは素直にびっくりだ。すぐに殻を開けてくれるのだが、その瞬間に立ち上る潮の香りは渦を巻いて立ち上るかのよう。蛤から湧き出たスープの余韻は今も記憶に刻まれているほど。白ワインはやや味わいのしっかりとしたサンセールと共に最高のマりアージュが生まれる。
開けた瞬間磯の香りが立ち上る |
キモに軽く炙りを入れたアワビはトレビスとアンディーブと共にサラダ仕立てに。アワビはコロコリ感もいいが、軽く火を入れて柔らか味をつけた方が食感と噛んだ時の旨味が染みると思うが、いかがだろうか。しかしながら海の奥深さを感じるキモの味わいはまさに美味の象徴と言っていい。
キモ無しのアワビは考えられない。 |