コンパレゾン
アミューズは手にとって自ら皿にはめ込む新しいスタイル。イチゴのシャンパーニュの泡立ちを眺めながらのおつまみは、食欲のスイッチを入れるには最高の立ち上がり。皿もどんどん進化する |
さて、その後は次から次へと料理が運ばれるがどの皿も楽しく、人間の味覚を飽きさせない仕掛けと工夫がされており、料理を語るには最高の時間が続く。こうなると料理に合わせるワインは?といった邪念は必要ないかも知れない。
昨年来のフランス料理はワインとのマリアージュよりも新しい料理に飲みたいワイン。これに尽きるのではないか。確かに銀座のマニエールの時もそうだった。
根付けはそこそこ良心的 |
ア・ニュのワインリストはこれでもか!というほどのワインが用意されている。いや、溢れているといってもいいのではないか。びっくりするほどの数のワインが分厚いワインリストに載せられており、ワインの資格を持つ方や通好みのワインにはたまらないだろう。例えば自己主張の強いワイン大好きオジサンと資格を取って意気込むエキスパート女性が集まってワインを選んだとする。決るには最低30分はかかるとみた。
しかし、このワインリストを作ったソムリエはそんな豪華な銘柄の中に、キラリと光るワインをこっそりと忍ばせているところが実に憎い。
コースを選んだ場合はソムリエにお任せでワインを選んでもらったほうが賢明かもしれない。
比較的軽めのソースが多い印象だったので、ボトルで合わせるとしたら白ワインのバリエーションが適当だろう。今回はドメーヌ・ダンプのシャブリを。ミネラル感あるシャブリ特有のテロワールが活かされた完璧とも言えるシャルドネだ。ワインを愛する人なら名前くらいは聞いたことがあるだろう、知る人ぞ知るグロワーズワインは田口朝一氏のセレクションによるものだ。
今回のコンパレゾンのテーマは「トマト」「鱈」「シャラン鴨」「苺」。これに雉のヴルーテと鮟鱇のポワレ、そして金時のデザートが間に添えられる。
最初の前菜は春を告げる魚、鰆(サワラ)に塩トマトのジュレ、そしてキウイのヴィネグレットが添えられる。もう一皿は塩トマトのエピスヴィネガーマリネに泡立てられたイチゴのスープが乗せられるもの。トマトの味を複数楽しめるという非日常を感じられると言えるのだが、皿が大きすぎたりと何かしらの不便さを感じてしまう。
トマトの素材力には驚きを隠せない |
ここで自問自答。自分が料理人だったとしたら一皿に同じ素材の複数の料理を並べて、顧客を満足させることができるだろうか。。。