フレンチ/東京のレストラン

レストランJ(広尾)

植木将仁。軽井沢から広尾に降臨し、繰り出す料理は相変わらず記憶に残る力のあるもの。この秋、久しぶりに自信を持って紹介できる料理に出会いました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

広尾

植木シェフの料理を初めて食べたのは2005年のことだ。そこは神宮前の、かつてアンフォールがあった辺りのレストランJだった。シンプルで遊び心のある、フレンチだけどちょっと飛び跳ねたところがあるような面白い料理だった。
店内
昼は明るく、夜はシックな店内
植木シェフは金沢出身で、最初に仕事をしたところは意外にも料理人としてのスタートはエスカイアクラブだという。その後フランスやイタリアで修行し、最も勢いのあった頃のグローバルダイニングに入る。タブローズを経てステラートのシェフに就任し、連日満席の料理を繰り出す。独立したのが2000年。レストランJ閉店後は軽井沢で独自の料理を磨き、そして2009年秋、広尾に舞い降りてきた。

使い勝手のいいレストランだ。平日はラストオーダーが終わってもエントランス右に伸びるバーコーナーでワインやおつまみが楽しめる。個室もあり、接待やお忍びの食事にも対応する。その意味で店名は「レストラン&バー・ジェイ」となっている。
植木将仁
料理感を淡々と話す植木シェフ
開店したのは10月上旬だからまだ日は浅い。しかし、新規開店とは言ってもこれまで何度も店を作って運営してきた実績からか、この日の料理も実に冴え渡っていた。彼の料理の特徴はコンテンポラリーなフレンチでありながら素材だけに頼らず、技術がしっかり表現されているということだ。色で言うと原色。燃えるような赤、澄み渡る青、世を照らす黄色、闇より暗い黒。そんな色のコントラストを皿の上に彩る。
シャンパーニュ
植木シェフの料理にシャンパーニュは欠かせない
唯一無二。自身の料理をひと言で語ると、この言葉以外ないそうだ。メニューも多くが新作。素材はほとんどが自分で畑を見て生産者と話し、納得したものだけを仕入れているという。最近は産地から直接の買い付けは珍しくもないが、彼は実際にすべての生産者のところに足を運び、そして若い料理人を連れて朝早くから築地に魚を仕入れに行く。
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