アミューズ
|
ホテルで培われた技術がさり気なく披露される |
小さな3種のアミューズはスープ、素材、ムースと異なる食感を意識したトライアングル。シャンパーニュを飲みながら前菜を待つ時間を楽しくする料理だ。
|
夏に合う爽やかな一皿 |
活け〆スズキのカルパッチョはグリーンリーフと鱒の卵に包まれてまったく見えない。がしかし、中を覗くと程よい身の厚さに仕込まれたスズキが敷かれている。ビネガーは緩めに絡められ、食感と白ワインとのバランスを考えた優しい味わいに仕上げられている。
白ワインはブシャールのシャルドネを。ほんの少し樽の効いた穏やかな香りとバランスの取れた味わいに料理がぴったりと当てはまる。ただし、ワインリストはいまひとつ選ぶ楽しさが感じられない内容か。こだわりを前面に出す必要はないが、同じような価格帯にキラッと光る銘柄を忍ばせて欲しい気もするがどうだろう。値付は極めて良心的だ。
|
ブシャールのワインはこのところ品質は非常に安定している。 |
鴨のテリーヌはねっとりとした舌触り。鴨の滋味が静かに広がる。優しい刺激が足の先までたどり着く。レンズ豆やバルサミコソースと一緒になるとまた違った味覚が楽しめる。一見、平凡に見えるこした料理にこそ料理人の技術が垣間見えるのも事実。そう言えば、かのジャック・ボリー氏が「テリーヌのオニオングラタンスープを作らせればその料理人の腕がわかる」と話していたが、非常に完成度の高いテリーヌに真摯な仕込が垣間見える気がする。
|
レンズ豆との相性が抜群だ |
ルバーブの上に乗った真鯛のポワレ。ソースはバジル、バルサミコなど複数のソースが添えられる。単調になりがちな白身魚の料理は複数のソースがバランスよく引き立てる。特に酸の締まったルバーブは新鮮な風を吹き込む。料理を口に運んだ瞬間に「はっ」となることはそう多くはないものだ。ひと工夫ある魚料理を前にして料理人の細やかな仕事ぶりが想像できるのは実に気持ちがいい。
|
ソースにより味わいは変化するのが楽しい |
早い時間の入店だったが段々と日は落ちてきて、ダイニングの賑わいとキッチンの動きが加速し、そろそろメインディッシュの時間がやってくる。