フレンチ/全国のフレンチ

島原と熊本のフレンチ(3ページ目)

島原の風と海、熊本の水。九州には土地の食材を見事にフレンチに変える力がありました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
小泉八雲旧居に面したビルにある

バッカスでランチを

翌日の昼はバッカスだ。北海道は札幌が誇るラーメンの名店、五丈原のご主人が教えて下さったのがここ。偶然にもひとテーブルだけ空いていたことは幸運だった。

バッカスは今や三ツ星シェフである南仏はレジス・マルコンで鍛えられた料理人が一人でやっているという。12席程度の小さな店を女性スタッフと2人で切り盛りしている。

レジス・マルコンといえばキノコの魔術師と呼ばれ、四季折々のキノコなどの素材を使ったクリエイティブな料理で名声を博す。またレンズ豆を使ったスープはスペシャリテの一つで彼の門下生は必ずやメニューに入れるものでもある。

フランス料理
ボリュームもしっかり
軽やかなガスパッチョに始まりオーヴェルニュ風のサラダ。濃厚な半熟卵を溶かし、ハムやベーコンと絡めてがっつりといただく。ヨーロッパのサラダは豚肉加工品、つまりベーコンやソーセージや茹で卵を加え、ボリュームたっぷりに仕上げるのが特徴だ。卵がビネガーと溶け合い、爽やかさの中に濃厚なアクセントを加えている。

長崎湾で獲れた鯛のポワレ。うろこもこんがりと焼き上げ、ほわっ~と火が入った白身は白ワインと共に体を染みこむ。身の白さが妙に目に眩しい。潮の香りと味わいは体中に広がり、心地よい酔いに包まれる。鯛の下に敷かれたラタトゥイユは爽やかで、バジルのソースと共につけあわせと言うより一つの料理としての役割をしっとりと果たす。いや、実に旨い。

フランス料理
素材そのものの品質が抜群にいい
オープンになっているキッチンからは料理と静かに格闘するシェフの姿とは裏腹に小さなダイニングはマダム達、熟年ご夫婦、カップルが思い思いの時間を楽しむ。サービスの女性はつかづ離れずで皿を運び、ワインをグラスにやさしくやさしく満たしていく。

帰り際にシェフと一言二言話をしたが、実直そうな雰囲気を持つ方。フランスのエスプリを感じるモダンなフランス料理店だ。東京から遠く離れたこの地でフランス料理の楽しさを伝えている姿に共鳴せずにはいられない。この日は1人であったが、実に楽しいランチタイムだった。

「LE BACCHUS」 ル・バッカス
熊本市安政町2-38 フジタビル2階 
096-356-8875
地図
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