フレンチ/全国のフレンチ

島原と熊本のフレンチ

島原の風と海、熊本の水。九州には土地の食材を見事にフレンチに変える力がありました。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
黄色い壁が目印のアージュアージュ

島原のフランス料理店

昨年の秋、友人の結婚式に出席するために26年ぶりに熊本を訪れることになった。高校2年の時に九州と山陰を一人で旅行して以来の熊本。その当時は肥後の国ということで、歴史にしか興味がなかったのだが、この年になると観光はどうでもよく、「旨いもの」にしか目が行かなくなってしまう。

せっかくなので熊本以外にもあちこちと回ってみようということになり、時間を見つけては主にネットとミクシイを使ったつながりで情報を集めていくことにした。

フランス料理
なんとも優しい値付けではありませんか
その結果、熊本(結婚式と食べ歩き)、長崎県島原(雲仙南島原豚と野菜の探索)、山口県の萩など旅をすることになった。

目的のある旅に準備は欠かせない。昔はガイドブック一辺倒だったが今はインターネットという強力な武器がある。瞬時に、そして同時並行で様々な情報を集められるのだから便利になったものだ。

まずは『島原 フレンチ』で検索をかけてみることにした。まさか引っかからないだろうと思いきや!

『アージュ・アージュ』というレストランが南島原市の深江町にある。深江町と言えば雲仙普賢岳噴火の際に大きな被害にあったことで有名になった町だ。ホームページでもなくブログでもないサイトに引っかかったが、一軒あっただけで私の心はワクワク。なんせ島原は17歳の時、初めて一人旅をして、それも島原城で野宿したという思い出の場所。26年後にフレンチを食べに、そして養豚農家を訪問するとはそのときの自分にしてみたらびっくりだ。

フランス料理
肉厚にびっくりの真鯛のポワレ
早速電話で予約し、ランチだけどディナーメニュー、それも地元の食材をふんだんに使ったメニューを3000円でリクエスト。(普段のコースは2500円)

年輪を重ねるという意味のアージュ・アージュ。深江町を走る幹線道路から一本入った、比較的わかりやすいところにある。黄色の壁にフランス国旗がはためくその風景は、ここが本場フランスの夏のブルターニュ辺りを彷彿とさせるような気もしないではない。とにかく周りは畑、遠くには普賢岳、遠くには海が見える、これ以上ないのどかなところ。

ダイニングではパンを焼く香ばしい匂いが漂い、その瞬間に旨い料理と巡り合える直感が働く。前菜は昔のクイーンアリス風小さなアミューズがたくさん。真ん中のコールスローは葉っぱの感触が新鮮で、ビネガー強めに効かせたドレッシングは冷えた白ワインとぴったりはまる。キャベツで包んだジュ・ド・ブッフもしっかりとソースを煮詰め、味わいも非常に力強いもの。

フランス料理
鹿のパイ包みに赤ワインソース
さくっとしたサービスはないものの、ゆったりと皆さんとても親切。シェフも一生懸命料理を説明してくださり、その真摯な印象からこのレストランを長く続ける熱い気持ちが伝わってくる。

開店直後に入った店内はがらんとしていたが、出る頃には満席だ。地元の人に人気のレストランに違いない。様々な種類のパンやデザートもテイクアウトで販売されている。

アージュ・アージュ(南島原市深江町)
長崎県南島原市深江町丙506
0957-72-6818
地図
営業時間 11:30~18:00(ランチは14:00LO)
ディナー 18:00~22:30(前日までの完全予約制)
定休日 毎週月曜・第3火曜

さて、次は海の向うの熊本に行こう。
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