フレンチ/東京のレストラン

ロオジエ(銀座)(3ページ目)

パリのホテル、ル・ブリストルのエリック・フレションとのコラボレーションディナーはそれぞれの料理に合わせるワインが用意されていた。秋深まるこの季節に、ロオジエ再び。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
できたての暖かいソースがテーブルで注がれる

現代フランス料理の見本のような

温かな前菜「ベーコンとオニオン入り手羽先のファルシ」もみの木の香りがついた鶏のブイヨンは上品な味わいだが、主役は小さな手羽肉のファルシ。ぎゅっと味わいが凝縮され、食感も楽しい。全体的に優しい味わいの料理には意外なワインが用意されていた。

ジュラ地方のシャトー・シャロン1995。ここでタイミングを外す変化球が放たれたような気分だ。熟成したシェリーのような香りと味わいは料理を引き立てるというより、味覚をさらに覚醒させるものか。


フランス料理
ああ、もう一度この料理に出会いたい
魚料理は「コキーユ・サン・ジャック(ホタテ)のポワレ」。白トリュフの官能的な香りがふわりと沸き立ち、昼ながら興奮する気持ちを抑えられない。同じく白トリュフが仕込まれたポテトのニョッキにロケットのジュとパルメザン風味のオイルが浮かぶ。

この巨大なホタテにナイフを入れてフォークで離そうとしても、ゴムのように伸びるほどの身の締まりに驚きを隠せない。高品質な素材を高度なテクニックでさり気なく驚きをもたらす料理に仕上げるあたり、さすがロオジエ。

ワインはボルドーのシャトー・カルボニュー・ブラン 2002。上品な樽香とほのかなドライフルーツの香りがソースを一層複雑にしていく。ホタテの身がワインの中で泳いでいるようだ。これ以上もこれ以下もないワインと料理のマリアージュか。

フランス料理
これ以上なく最高の状態で仕上げられる究極の鳩料理
メインディッシュはメナールシェフお得意の仔鳩のロースト。甘いドラジェがいいアクセントになっており、食べ応えも十分だ。ああ、なんという満足感。そこに登場するのが熟成したエルミタージュ。柔らかく落ち着いたシラーはピンク色の鳩肉を中にじわっと染み入り、オレンジのジュと共に幾重にも味わいを拡げていく。漣が海一面に広がるように、ゆっくりと切れ目なく。

確かに飽きのこない味わいの連続だ。しかし、ここまでの、いわゆる特別な料理であるがこそ五感と記憶に残るものになり得る。世界最高峰の料理人といってもいい二人のシェフの料理にあわせたワインは、使われた食材ほど実は高価なブランドものではなく、その料理の特徴をはっきりと浮き立てる個性あるワインばかりだったのである。

一期一会とはこのことだろうか。あの料理とこのワインに出会えたのはある意味で奇跡か。

フランス料理
デザートは一転、クラシカルで重厚感あるもの
料理とぶつかることなく、すっと後ろに控えるワイン。しかしその存在により料理あってのワイン、ワインあってのフランス料理という持ちつ持たれつの関係をただ、しとやかに表現するのみ。

そんな快楽を司る、ロオジエの懐の広さ、深さ。ハレの日にはお洒落してぜひ訪れたいレストランである。


デザート
苺の甘みが口中で弾ける驚きのプティフール
レストラン ロオジエ
東京都中央区銀座7-5-5
03-3571-6050
ランチ コース 6000円から
ディナーコース18000円から
日祝休

ロオジエのホームページはこちらから

以前のシェフ、ジャック・ボリーさんへのインタビューはこちら
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます