できたての暖かいソースがテーブルで注がれる |
現代フランス料理の見本のような
温かな前菜「ベーコンとオニオン入り手羽先のファルシ」もみの木の香りがついた鶏のブイヨンは上品な味わいだが、主役は小さな手羽肉のファルシ。ぎゅっと味わいが凝縮され、食感も楽しい。全体的に優しい味わいの料理には意外なワインが用意されていた。ジュラ地方のシャトー・シャロン1995。ここでタイミングを外す変化球が放たれたような気分だ。熟成したシェリーのような香りと味わいは料理を引き立てるというより、味覚をさらに覚醒させるものか。
ああ、もう一度この料理に出会いたい |
この巨大なホタテにナイフを入れてフォークで離そうとしても、ゴムのように伸びるほどの身の締まりに驚きを隠せない。高品質な素材を高度なテクニックでさり気なく驚きをもたらす料理に仕上げるあたり、さすがロオジエ。
ワインはボルドーのシャトー・カルボニュー・ブラン 2002。上品な樽香とほのかなドライフルーツの香りがソースを一層複雑にしていく。ホタテの身がワインの中で泳いでいるようだ。これ以上もこれ以下もないワインと料理のマリアージュか。
これ以上なく最高の状態で仕上げられる究極の鳩料理 |
確かに飽きのこない味わいの連続だ。しかし、ここまでの、いわゆる特別な料理であるがこそ五感と記憶に残るものになり得る。世界最高峰の料理人といってもいい二人のシェフの料理にあわせたワインは、使われた食材ほど実は高価なブランドものではなく、その料理の特徴をはっきりと浮き立てる個性あるワインばかりだったのである。
一期一会とはこのことだろうか。あの料理とこのワインに出会えたのはある意味で奇跡か。
デザートは一転、クラシカルで重厚感あるもの |
そんな快楽を司る、ロオジエの懐の広さ、深さ。ハレの日にはお洒落してぜひ訪れたいレストランである。
苺の甘みが口中で弾ける驚きのプティフール |
東京都中央区銀座7-5-5
03-3571-6050
ランチ コース 6000円から
ディナーコース18000円から
日祝休
ロオジエのホームページはこちらから
以前のシェフ、ジャック・ボリーさんへのインタビューはこちら