野菜が生きている! |
シンプルで美しい料理
ここは場所柄、車で来るゲストが多いように思えるのだが、そうだとしたら車を置いてタクシーで帰ろうという気分にさせるワインリストが待っている。グラスやカラフからボルドーのグランヴァンまで揃えるが、基本は5000円前後の良質なワイン。フランスとイタリアが中心のワインリストだ。自然派のワインや、マニアックなものまで揃い、仕入担当者の思惑を考えるのもこれまた楽しい。料理人の山田正三氏は埼玉近代美術館の中にもペペロネというイタリアンレストランを持つが、もともとは浦和駅の近くでフレンチとイタリアンと2店舗構えていたと聞く。
前菜のテリーヌが美しい。野菜はすべて近隣の契約農家から仕入れている。つなぎのゼリーも野菜の出汁がやさしく効いた味わいのあるもので、小さな料理だが正確に仕込まれ、それが心地よい安らぎとなって食べる側に伝わる。ジュニアベジタブル&フルーツマイスターの資格を持つ山田シェフのさり気ないこだわりが見て取れる一品だ。
香りも料理の一つかも知れない |
茸のスープは丁寧に仕込まれたコンソメにバターの香り漂うパイをそのまま溶かして味わうものだ。最近はこうした料理は目にする機会も少ないが、シンプルな故にごまかしのきかない料理かも知れない。