フレンチ/東京のレストラン

ラブレー(代官山)(2ページ目)

20年の時間を刻むラブレー。第一線で活躍する料理人を数多く輩出している稀有なレストランでもある。季節の花々に囲まれた小さなテラスも心地よく、デザートブッフェは相変わらず大人気だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ホタルイカのスモーク

フランス料理
野菜の瑞々しさも心地よい
宮地シェフは選び抜いた素材を自由に操っているようだ。
アミューズの定番として落ち着いた『かぼちゃのムースとコンソメジュレ』。これ以上食べると飽きてしまうかぼちゃだが、コンソメの深い味わいと溶け合い、最初から食欲のエンジンがかかる。

『スモークしたホタルイカと白アスパラのサラダ仕立て クスクス添え』さっぱりとした味わいにそれぞれの素材の食感が心地よく絡み合う。ホタルイカの味わいは微妙にスモークがかけられ、手元ですっと変化するような軽い驚きが感じられる。ちょっとしたひとひねりで日常的に接している素材の香りや味わいが微妙に変る。そんなところにシェフのちょっとした遊び心も感じたりするのだ。

一緒に合わせたワインはブルゴーニュはマルク・コランのサントーバン・プルミエクリュ。ややきつめに樽を効かせた白ワインはやや尖っているものの、ホタルイカを優しく包み込む。

フランス料理
この皿の中に巨大なアサリと岩牡蠣が隠されている
そんなワインの余韻に浸っていると、これまで見たこともない巨大な牡蠣とアサリが現れた。宮崎は延岡で獲れた『天然岩牡蠣とこれまた巨大なアサリのフリットとソテー』。大きさに驚いてもしょうがないが、その調理方法が面白い。巨大アサリは軽くフリットにして、旨みを中に閉じ込める天ぷら方式。ナイフをいれずにそのまま食べることにより、これまでのアサリとはこういう味わいだと言う概念と記憶が音を立てて崩れ去る。


牡蠣
あっと驚く大きさだ。
牡蠣に至ってはなんせ今話題の宮崎は延岡から築地に運ばれたもの。「そのまんま」でも十分美味しいのだろうが、調理方法はバジルを効かせてじっくりとソテーしたもの。やや塩加減がキツイので、ここは前出のサントーバンの白ワインが再登場だ。ワインなくしては辛い料理なのだが、サントーバンと合わせることにより思いも寄らぬマリアージュに気持ちがぐぐっとときめく。


フランス料理
素朴な味わいがドミニク・ローランの持ち味
ここで久しぶりにドミニク・ローランのモレ・サン・ドニ・プルミエクリュ・クロ・ソルヴェを。ぴりっとくる一口目から段々柔らかくなり、でも果実味が深くなるその変化の早さにこれまた驚く。重すぎず軽すぎず、化粧っ気のない極めて自然なブルゴーニュワインか。
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