フレンチ/東京のレストラン

ラブレー(代官山)

20年の時間を刻むラブレー。第一線で活躍する料理人を数多く輩出している稀有なレストランでもある。季節の花々に囲まれた小さなテラスも心地よく、デザートブッフェは相変わらず大人気だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

歴史を刻むレストラン、そしてシェフ

フレンチ
エントランスまでのアプローチも楽しい
ラブレーの宮地澄人シェフはここ最近非常に腕を上げている料理人かも知れない。3か月に一度は彼の料理を食べてきたが、先日の料理は時に印象に残るものだった。特段輝かしいキャリアや修行経験があるわけではないが、歴史あるレストランで自分の歴史を刻もうとする前向きな姿勢が顕著に現れる。

ラブレーは開店以来20年という時間を刻むレストラン。思えば20年前に、当時河合塾の英語講師をされていた古藤先生が主催するワイン会(当時はたいしてお酒は飲めなかったのだが、何故誘われたかは未だに疑問だ)にお声をかけていただいてからの長い付き合いになる。古藤先生のワイン会は当時開店したばかりのOZAWAなど、できたばかりのレストランを貸切で行う、それは華やかな集まりだった。私はその時期、古藤先生から多くのこのを学び、多くの人をご紹介いただいた。

さて、ラブレーは多くの料理人を輩出してきたことはよく知られている。初代料理長の水島シェフは恵比寿でカウンターフレンチ「エムズキッチン」にて腕を振るう。その料理教室は調理の基礎技術をわかりやすくかつ体系的に教えてくれる、いわゆる目から鱗が落ちる料理教室を主宰する。私も強い影響を受け、時折台所に立ちつつ、いかに基礎が大切か、それを継続することがどれほどに重要かを思い出す。

フランス料理
この季節はテラス席は最高かも
そして、学芸大学はボンシュマンの花澤シェフ、ジョージアンクラブの久高シェフ、西麻布はラ・グラップの加藤シェフなど、皆それぞれ第一線で活躍中だ。

オーナーの山田恵氏は古くはビストロ・ド・ラ・シテやオーシザーブルなどで支配人を務めた方。70年代より日本におけるフランス料理の歴史をつぶさに見てきた人物でもある。彼はほぼ毎朝宮地シェフと築地に足を運び、魚介類の物色に余念がない。昔と違って新鮮な魚や海外の食材もすぐに日本に届く時代になった。素材のバリエーションと鮮度が料理のあり方を大きく変えてきたが、重要なのは自分たちの店で出せるに値する素材を選ぶ眼力。老獪なオーナーと勢いある料理人のコンビの築地巡りはさぞかし刺激に溢れていることだろう。
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