フレンチ/東京のビストロ

ポアソンルージュ(大井町)(2ページ目)

初めて訪れた大井町。冷たい雨の夜にもてなしてくれたのはシンプルで素朴な料理とマダムの暖かなサービスだった。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

レンズ豆のサラダ
シンプルだからこそ心地よいサラダ

あれもこれも食べたくなる料理

料理はあれもこれも食べたくなるような、伝統的フランスの郷土料理が並ぶ。自家製のピクルスは食欲が高まる締まった酸味が心地よい。大雑把に盛られたニース風サラダは、ドレッシングの力であっという間に皿はからっぽに。追加で頼んだレンズ豆のサラダも微妙な硬さが印象的だ。このレンズ豆は北アフリカ産ではなく、オーヴェルニュ地方で生産されたものと聞いた。

スープ・ド・ポワソンは軽めに仕上げられているが、風味も後味の余韻も長く、飽きの来ないまずまずの一皿。カリフラワーのスープはしっとりとした舌触りと、ほんのりと漂うカリフラワーの味わいが微妙なところで生きておりこれまた申し分なし。お薦めとあったカスレ(フランス南西部の煮込料理で、鴨のコンフィやソーセージ、豚肉などを白インゲン豆などで煮込んだもの)は鴨の焼き上げ具合と白インゲン豆の感触が心地よい。ちなみに鴨のコンフィが1300円、値段だけ見れば東京のどこよりも安い。

鴨のコンフィ
焼き上げ加減は完璧だ
他にもいろいろとオーダーしたが、これ以上は食べられないという助言を頂きデザートへ。デザートもボリュームたっぷりで輪郭のある甘みがしっかりと感じられ、とにかく大満足だ。ああ、どうしてフランスの郷土料理はこんなに旨いんだろう。

オープンキッチンになっているのでカウンターのすぐ奥で腕を振るうシェフの姿が見える。サービスにあたる明るいマダムはきっとご近所さん達の人気者に違いない。ご夫婦でフランスの郷土料理を広めようとする姿勢が感じられて、私はここに来てほんとうによかったと雨の大井町をあとにした。

ポワソンルージュ
東京都品川区大井1-53-8
TEL:03-3775-1660
ランチ :11:30~13:30(LO)
ディナー:17:30~22:30(LO)
日と月ランチ休

地図
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