魚介類の宝庫、築地

築地は実に思い出深く、そして懐かしく、当然今も大好きなところだ。1987年の初夏に初めて転職した先は築地のど真ん中、今はなき第四恒産ビル。場所柄ランチや夜の食事にも事欠かないグルメエリアなのだが、中でも好きだったのはコンワビルの地下にあるステーキハウス「チャイム」と築地警察の近くにある「魚竹」。特に魚竹の「ヤキ(魚)と大盛り(ごはん)、卵焼きと納豆」は極上のランチタイムだった。

そして二つ上の先輩達に初めて連れて行ってもらった「パリの朝市」は新鮮だった。「こーんなお洒落なところで昼ごはん食べてるんだ~」と素直に感動したものだ。

時折近くの築地市場の中にある寿司屋などにも足を伸ばし、1.5人前の寿司を食べたあとに近くの鰻屋から漂う香りに惹かれ、梯子してうなぎ定食というダブルランチも珍しくない若かりし頃。超満腹で仕事をするのがこれほど楽しく苦しいか実感できた時代でもあった。

エクロール
落ち着いた店内のインテリア
一年経って社会人としてほんの少し余裕が出てきたところに築地勤務というのはその後の私の食への関わりを見ると、重要な環境を提供してくれたと改めて思わずにはいられない。

気がつくとあれから20年という時間が流れた。銀行の多くは名前が変わり、古いビルは建替わり、モダンなオフィスビルが立ち並んだ。築地は世界中のシーフード等が一同に集まる世界でも有数のマーケット。だからと言って回りは旨い店だらけ、というわけではないが品数と鮮度のイメージの良さは抜群にいいことは間違いない。場所柄寿司屋と和食が多い築地の地にも、時間とともにフランス国旗を掲げるレストランが少しずつ増えてきたことは嬉しい。

さて、今回ご紹介するレストランは築地本願寺近くにあるエクロール。築地から仕入れる魚介類をふんだんに使った繊細な料理を特徴とするレストランだ。シェフの長谷川豊氏は新潟県燕市の出身。下北沢の歴史あるフレンチ、ルグラン・コントワーで長く料理人を務め2002年にこの地で独立した。