フレンチ/東京のビストロ

シェ・オノ(中野)(2ページ目)

92年から続く小さなビストロ、シェ・オノ。寡黙なシェフと底抜けに明るいマダムを慕うファンは多い。フレンチテイストが滲み出る究極の洋食メニューは今も健在どころかますます深くなっていく。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ワイン
カウンター席も楽しい

寡黙なご主人と底抜けに明るいマダム

ご主人の小野さんはいつも寡黙だ。「いいワイン、なんかないっすか」と聞くと奥のセラーからあれこれと出してきて、そのワインについて一言だけ語る。「このインポーターは信頼できます」「古典的な作り方をする生産者ですね」「日本ではマイナーですが地元ではかなりの評価です」といったようにワンフレーズにワインを全部嵌め込んでしまう言い回しは心地よかった。

先日久しぶりに出掛けたのだが、路地の飲食店街は大きく様変わりしていた中、シェ・オノの看板も新しくなっていた。しかし店内は昔と変わらない、日本のビストロそのものだ。

サラダ
どのメニューも一工夫加えられている
マダムの元気のよさったらこれ以上ない。「でんつーさん、いなくなったらさー、もうたいへんよぉ。あそこもあっちもこっちも、そんでもってウチも、わっはっは~(笑)」という具合だ。数年前に多くの常連客がいた会社が品川に移転してしまったためにダメージを受けたと聞いたが、それはあくまで一時的なことのようだった。

どの料理も必ず一工夫加えられているところが、シェオノの魅力。ランチのカレーだって手抜きはない。じっくり煮込んだカレーには根強いファンが多いのはよくわかる。ちなみにランチのサラダのために用意されるドレッシングは10種類程度の野菜をオリーブオイルと共にミキサーにかけたオリジナル。

ロールキャベツ
ありふれた料理だがそれだけに料理人の腕が問われる
夜メニューにあるサラダのバジルソースと共にみょうがを絡め、風味と食感が幾重にも重なり合う。ロールキャベツは表現しようにも言葉が出ない旨さ。柔らかさと歯応え感が不思議と同居する大山地鶏のソテーは塩加減や焼き方のバランスをうまく保ち、シンプルできちんとしたビストロ料理に仕上げている。〆のオムライスのソースは濃さというより軽めの余韻が楽しめる、微妙な味加減だ。多くのメニューから感じることはソースへのこだわり。ありふれた洋食メニューでもじっくりと時間をかけてソースを仕込む姿勢が、こちらにはきちんと伝わってくるのである。

チーズやデザートもそこそこ充実。ご主人はランチの仕込みから多くのメニューをすべて一人で黙々とこなす。まさに職人なのである。

時間と共に街はどんどん変化する。歴史ある古い建物は新しいビルになり、モダンで小奇麗な商業施設が栄える時代になりつつある。しかし「食べて飲む」楽しい時間は決して新しいだけのところ、そして流行の中にだけあるわけではない。サラリーマン時代の一番楽しい時代を過ごした中野。楽しい思い出がたくさん詰まった飲み屋街がずっと続いてほしいと願う。

地鶏
シンプルゆえに旨さが光る
シェ・オノ
中野区中野5-53-9
03-3319-7947
ランチ :11:30~14:00(土休)
ディナー:18:00~22:00
日祝休

地図


中野にあるもう一軒お薦めは中野の住宅街で孤軍奮闘するビストロクスクス
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます