フレンチ/東京のビストロ

ビストロカトリ(田原町)(2ページ目)

浅草に近い合羽橋問屋街に忽然と輝きを放つビストロカトリ。味わいのはっきりとした本物のビストロ料理が楽しめる貴重な一軒です。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
シンプルなオニオンスープだが実に旨い!!

ボリュームたっぷりのメインディッシュ

昼は気軽な値段設定(平日1575円~)のコースだが夜はアラカルトのみ。ビストロのあるべき姿とはこのことだよな、とか思いながらあれこれと注文。メインディッシュ(2000円台後半から3000円台まで)は一皿がかなりのボリュームだ。豚と鴨が多いように見受けられるが、牛頬の赤ワイン煮込みといったフランス料理の定番も刻まれ、こだわりをさり気なく主張する、非常に食欲をそそるメニューになっている。ということは選ぶのもとても楽しいということだ。大食いの私たちは豚と鴨をそれぞれ注文。

まったくもって申し分のない分量としっかりとした味わい。単に味が濃いとかではなく苦味、酸味、甘み、そして塩加減のバランスが非常に良い。なのでボリュームがあっても食べ飽きることがない。

フランス料理
気軽なワインも多いのでご安心を
ワインリストはリーズナブルなワインリストとプチワイン好きが喜ぶワインリストと分かれており、その日は久しぶりにルロワのブルゴーニュを選ぶ(確か7000円だったか)。しかし今思えば軽やかで繊細なブルゴーニュワインよりカオールやコルビエールの濃厚なワインのほうがよかったかなあ、と思いに駆られる。ならばまた行きたいな、というように気持ちのリピートができるほど、心地良い時間を堪能できた訳だ。もちろんリストの中身も申し分なく、下町レストランのなんちゃってワインリストだと思ったら大違い。

シェフの香取栄一氏はラムロワーズなどの三ツ星レストランで修行し、恵比寿はウエスティンホテル内のビクターズ料理長などを経て2003年に独立。その年のボキューズドールコンテスト全国3位入賞という経歴を持つ。名だたるレストランで仕事をしてきた香取シェフだが、オープンスタイルになっているキッチンからは食欲をそそる香りをダイニングに流し、ビストロのあるべき姿を実現したいという姿勢を店全体を通じて表現している。

フランス料理
ボリュームたっぷりだが、意外とすんなり平らげてしまう
スタッフの連携もよく、きびきびとした動きを見ていると「旨い料理」が出てくることは極めて明白だ。例えばサラダのドレッシングなどはきちんと全体に均等にいきわたっているのか、というところだけでも料理人の仕事振りがわかるというもの。デザートもしっかり仕上げられており、パティシエの集中力と技術が垣間見える。

合羽橋に買い物がてらランチにも出かけたが、昼にしてはダイナミックなランチを堪能している外国人、老夫婦、観光客、カップルと実に幅広い客層が集う。ビストロ料理の定番であるパテ・ド・カンパーニュはしっとりと仕込まれ、鴨のコンフィはボリュームたっぷりに仕上げられ、ソースもなかなか濃厚でまさに私好み。


フランス料理
ランチの鴨のコンフィ。ワインが欲しくなるのを我慢してはいけない。
さて、トム氏との食事は実に楽しかった。いろんなアイデアが浮かんでは消して、消しては浮かばせ、話は尽きることがない。気がつくともう閉店の時間だ。

ビストロカトリ。ウッドベースの落ち着いた店内は品の良い賑やかさに包まれ、下駄履き感覚でフランス料理を楽しむ人達で今宵も賑やかに違いない。

ビストロカトリ Bistro Katori
東京都台東区西浅草1-8-9 鈴木ビル1F 地図
03-3843-5256
ランチ :12:00~15:00(LO 14:00)
ディナー:18:00~22:30(LO 19:30)
水休
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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