フレンチ/東京のレストラン

【閉店】メゾン・デュ・シャテーニュ(根津)(2ページ目)

根津周辺は個性ある小さなレストランが多いのですが、フランス料理のレストランはほとんどありません。そんな中で孤軍奮闘するシャテーニュは奥行のあるソースが特徴の、ほっとできるレストランです。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

根津
ソースがより一層フォアグラの旨さを引き立たせる

熟練の技が光るソース

入店は7時くらいだったのだが、閑散とした店内が8時を過ぎるとほぼ満席に。ほとんどの方々が普段着で、きっとご近所さんなのだろうか、カップル、ご家族、お洒落な老夫婦がワイングラスを揺らしている、実に和みの食風景が広がる。

さて、料理だがこの日の最初の一皿はフォアグラのソテーと季節の野菜。ややあっさり目のフォアグラとアスパラ、さと芋のコンビは優しい調和を生み出している。仔羊のパイ包みはクラシックでシンプルな一皿だ。

フランス料理
クラシックな一皿にこだわりを感じる
ビーフステーキに茸のソースを合わせた一皿はもう一押し工夫が欲しかったが、いずれの料理も決めてはソースにある。しっかりと時間をかけて肉や野菜から出汁を取り、ワインやビネガー、バターなどで手間隙かけて作り上げる熟練のソース。何十年もの間蓄積された技術とハートが作り出すソースは優しく、そして驚くほどに余韻が長い。

そしてワインリストがとてもユニークだ。フィネスという非常に信頼できる輸入会社が扱うもので統一されており、ブルゴーニュを中心としたワインがとてもリーズナブルな価格でオンリストされている。種類はそう多くはないがブルゴーニュの名だたる生産者のワインもあり、こだわる方にはたまらないリストかもし知れない。

ブルゴーニュ
味わいのバランス感が特に素晴らしい
私が選んだのはMonthelie 1er Cru Sur la Velle 2003 Remi Jobard 華やかな香りと果実味がしっかり感じられるワインで、その後個人的に購入をしたほどだ。ワインは銘柄ではなくインポータとは常々書いてきてはいるのだが、フィネスの扱うワインもそのひとつと言えるだろう。

栗原シェフの繰り出す優しいソースにはブルゴーニュワインが良く似合う。

フランス料理の真髄はソースに醍醐味があるということをよくわからせてくれる匠の技。そこにはコンテンポラリーな新しさや驚きはないかも知れない。しかし安心と和みの日常的フレンチの楽しみがあることをさりげなくメゾン・デュ・シャテーニュは教えてくれたのである。

メゾン・デュ・シャテーニュ
東京都文京区根津2-14-10
地図
月、第1・3・5日曜休
Lunch 11:45 - 13:30(LO)
Dinner 18:00 - 21:00(LO)
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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