さり気ない色使いも見事な栗のデッサン |
栗の住処
文京区根津と聞くと何を連想するだろうか。駅で言うと千代田線の根津、千駄木、JRだと日暮里周辺になる。トップバッターは居酒屋の『根津の甚八』。そして中華の『山中旅館』、そしてイラン料理の『ザクロ』、釜揚げうどん専門店『釜竹』。ジャンルは違えど見事に個性的な店が集る。そんなエリアにとても平凡ながら実に安心できる料理を出すフランス料理店を見つけた。
メゾン・デュ・シャテーニュ、日本語に直すと「栗の住処」となる。シェフの名前が栗原さんなので、意訳をすると「栗原さんの家」となる。
シェフの栗原氏は有楽町の名店アピシウスの厨房で10年以上にも亘り長く仕事をされていた方。ソース担当として当時のシェフ、高橋徳男氏の右腕としてアピシウスの黄金時代を支えてきたと言える。そして決して目立つことのないその実直で真面目さを、初めて持つ自分の店に気負わずにゆるやかに漂わせる。
根津の駅からは徒歩数分。地下に降りる階段から中に入ると明るい店内が広がる。シャテーニュ(栗)をモチーフにした絵やロゴがゲストを迎える。幾分明るすぎるかなと感じるインテリアに特に個性的な特徴があるわけではないが、シンプルで小奇麗なかたちにまとめている。席に着くと、玄関と同じようにシャテーニュの絵が視界に入り、意識はもう栗だらけ、なのだが、それが全然しつこくなく、居心地の良さを助長するものだ。