フレンチ/東京のビストロ

【閉店】ビストロ・イッシュウ(明大前)

居酒屋風内装にまず驚く。しかしそこから繰り出される料理は食べ応えのある正真正銘のビストロ料理のオンパレード!

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

掘り炬燵のあるビストロ

フレンチ
ここがフレンチだとはなかなか気付かないかも知れない
私鉄沿線で特急電車が止る駅はそこそこ賑やかな街かと思う。そんな街にはパン屋さん、カフェ、定食屋、そしてカジュアルなフレンチやイタリアンがあると思い込んでいた。京王井の頭線の明大前駅は82年に上京して以来何度となく降り立った、まあホームグラウンドのようなもの。最近はごちゃごちゃした駅前もちょっとだけ綺麗になり、昔ながらの雀荘と喫茶店(そう言えばこの言葉もあまり聞かなくなりました)、ビリヤードバーだらけの面影は少し薄れたのはなんとなく寂しい気もしないではない。

昔から、明大前(京王井の頭線)周辺って洋食系のレストランはないよなあ、と思ってはいた。そんな折、読者の方からのお知らせにより明大前駅の線路沿いに面白いビストロがあるのを知り早速食事に出掛けてみることにした。「ビストロ・イッシュウ」。しかしその外観は写真からもわかるように居酒屋か和食割烹のような佇まいだ。よく京都では外観は長屋風でも店内は洋風の内装にしてしつらえているところもあり、ここもそんな風な驚きがあるのかなと思いドアを開けた。

ごく普通の小奇麗な居酒屋の雰囲気だ。右手にはカウンターがあり、左手はお座敷掘炬燵だ。正直ちょっと引いてしまったのだが、掘炬燵に座ってしまうと何故かほっとしてしまう。メニューを見ながらいつもならシャンパーニュなのだが、なんとなくビール!と言ってしまう。ビールが出てくると、どうしてもやってしまうのが、ぐびっ!と飲み干した後の、ぷは~っ!いやはやオヤジ系丸出しだ。

しかしそのあとメニューを見てからは気持ちも態度も一変だ。襟を正してメニューに向う。その先には旬の素材をきちんと時間をかけて仕込み、練り上げられたものが並ぶ。それらは巷のダイニングバーというジャンルに蔓延る作り手の気持ちがまったく入ってない創作系メニューとは明らかに異なる。

メニューを眺めているといつもとはちょっと違う気分になってきた自分に気がついた。
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