クリエーティブな料理に言葉が出ない
優しい味わいに気持ちも涼しく |
ウニのジュレのほんのりとした磯の香りに夏の北海道を思い出す。まったりしているようでするりと体に入り込み気持ちのいい後味がしっかり舌に刻まれる。
シャンパーニュで余韻を流すのすらためらわれる。
当たり前のスープがとんでもなく旨い |
さまざまな食感に驚きの連続 |
しかし、デザートの前のお蕎麦だけは典型的な日本食。それが不思議なほどこのコースメニューに必要不可欠に思えたのは何故だろうか。絶妙のタイミングに驚き、それを受け入れる自分にも驚く。しかし食べることで、驚いたりほっとしたり、気持ちが昂ぶったり落ち着いたり、そんな感情の起伏も楽しめたら言うことなしだろう。
唯一の不満は、記憶に刻まれるであろう料理の数々に対し、それを引き立てるワインリストがないのはいささか寂しい。シャンパーニュやロワールやアルザスのワイン、軽めのブルゴーニュワインを数種類置くだけで随分と料理の味わいや楽しみも変わるような気がしたが、これはマダムもしっかり認識しているはず。
シェフの想い
ドライアイスの中から現れるデザートは!? |
「西洋懐石と、あまり聞き慣れない言葉を使うのには理由があります。それは、フレンチのエスプリと和食の繊細さを融合させた新しい世界を探求し続ける拘りなのです。何処にも無いオリジナリティーを創り続けていきます。」
どこにもないオリジナリティという言葉に隠されたシェフの意気込み。最近の料理人でここまで言い切れる人は何人いるだろうか。フランスの三ツ星シェフはマスコミやメディアからのものすごいプレッシャーを受けながら、日々新しい料理技術と格闘していると聞く。
素材は出尽くしてしまった感がある。これからは技術に帰る時なのだろうか。
3800円コースの平凡で万人受けする料理を否定はしないが、私はレストラン、特に30代の若い料理人が営むレストランには何か一つでも自分だけのオリジナルを求めたい。
カウンター席もある。次回の食事はここがいい。シェフが実際に動いているところを観ることは刺激的だ。しかしながらどんなに創造性溢れる料理を作ろうとも、いつもにこやかなマダムの笑顔には勝てない。美味しい料理はサービスする方の笑顔があって初めてその何倍も美味しくなるのだから。
■ラ・ココット
横浜市鶴見区諏訪坂18-23
予約専用番号:045-574-2100
ランチ 11:30~14:30
ディナー17:00~22:00
※クレジットカードの取扱いはない。