
甘苦い大ぶりの白アスパラ(白アスパラは大きく太くないと駄目です!)とフォアグラのふにゃりとした食感、それにトリュとかき卵と言う抜群のコンビが口の中どころか体全体を包み込む。そこに世界最高の白ワインが身を寄せる。

シャラン産鴨のローストとサルミソース、特にソースの完成度は味覚を表現するすべての言葉を使いたい。鴨肉の自然な臭みもソースと共に一体となり、一気に官能的美食の世界のエンディングを迎えることになる。この時間になってやっと落ち着いてきたボンヌ・マールも纏めるのが随分上手なワインだ。

ちなみにそのモンラシエはエティエンヌ・ゾゼの94年。食後にまで残していた最後の一口はとてもとても言葉では表現できるものではない。そんな気持ちを仲田氏は、白ワインとはこういうものなんです、とやさしく語りかける。

ワインリスト自体にほとばしる個性にも脱帽。高額なワインほどリーズナブルに見えるテクニックに私は安心して騙されたい。いつの日か余裕が出てきたら記念日のロマネコンティはここで、とさえ思う。
玄関からカウンター、ダイニング、トイレにある小物に至るまですべて気品ある銀座の世界が広がる。アピシウスを知る方、料理雑誌関係者、接待族だけにこのレストランを独占させてはいけない。はっきり言おう。真っ当な30代の大人自腹族こそアルバスを訪れるべきだ。
敬意をもって長く付き合いたいレストラン、アルバス。そこにはいるだけで感じる何かがある。そして何かを教えてくれるはずだ。

中央区銀座6-7-6 銀座細野ビル3階
03-3569-3386
夕食 17:30-22:00
夜食 22:00-01:00
日休
ワインによって値段が変わるが余裕をもって出掛けたい。