フレンチ/東京のレストラン

「只者ではない料理」を目指して出掛けよう。 ラ・リヨン(新江古田)(2ページ目)

ごく普通の明るいカフェレストランにしか見えない新江古田のフレンチ。料理だけでゲストを和ませる究極の街場レストラン、ラ・リヨン。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

手抜きのない、そして淀みのない完成された料理は肩の張らない気軽なサービスと共にテーブルへ届けられる。メニューは高価な食材を使ったものではなく、日常の延長線上にあるもの。それを極限まで高める料理が続く。

トマトのジュレの繊細さに舌は極限まで敏感になる。食による覚醒とはこういうことか!

ブイヤベースのスープにはその中に身を投じたくなるほどの欲求が湧き上がる。魚のポワレに添えられた野菜のフリットですら、野菜の香りをすべて封じ込めた技術に感嘆する。

そこそこの量をこなしているにも拘らず、メインディッシュはまだこれからだ。


ブレス産のチキンは歯ごたえ、パンチの効いたソースの濃厚さに言葉もない。フランスのチキンの旨さは特別だが、それがまさにここで再現されている。そして果実味溢れたサヴィニイの素朴なワインは第二のソースとして体中を駆け巡る。

ひょっとしてこれはかつての名店、市ヶ谷のリヨンの味だろうか?

今はなき市ヶ谷のリヨンを三国氏は絶対に手放さないと聞く。ビストロサカナザ時代の経験と実績、記憶を大切にしているのだろう。今はデリのセントラルキッチンとして機能しているようだ。

キャラメルのアイスとクリームブリュレに辿り着く頃には、ここはカフェレストラン=羊ではなく、正統派の狼フレンチと言ったら言い過ぎだろうか。

佐藤シェフはきっとフレンチの裾野をもっともっと広げたいと思っているに違いない。
さあ、都心のフレンチに行き飽きた食いしん坊の皆さん、新江古田まで出掛けよう。シェフのお任せ料理はたったの5250円だ!

ラ・リヨン
練馬区豊玉北1-3-24 ソレイユ江古田1F
03-3993-4433
水休
営業時間 11:30 ~ 14:00 / 17:30 ~ 22:00
新江古田駅のA2出口を出て左角を曲がって(西武線江古田方面)そのまま道なり。徒歩1分。
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