羊の皮をかぶった狼という言葉がある。ラ・リヨンは一見ごく普通のカフェ&レストランに見えるかも知れない。場所は大江戸線の新江古田。よほど何かないと出掛けないエリアだろう。店内は明るく、内装も極めてカジュアルだ。どう見てもごく普通のカフェレストラン(羊)にしか見えない。

「おっ、近所に新しいレストランができたぞ」と思って出掛けた人のほとんどは、ここのシェフが何処のレストラン出身で何をしていたか、といったことは、ひょっとして知らないのかもしれない。

しかし一皿一皿に向かい合うにつれ、舌の肥えたご近所さんは「只者ではない料理」にきっと気付くだろう。見かけ綺麗なのカフェ料理とは一線を画した見事なフランス料理が繰り出されるからだ。見事なと言う意味は一言で言うと「軸のぶれない旨み溢れるホンモノフレンチ」以外の何物でもない。

話し変わって三国清三という稀代の料理人がいる。四谷のオテル・ド・ミクニを筆頭に丸の内、名古屋、横浜、新橋、北海道などに次々と腕のいい料理人を送り込み、ビジネスとしても大成功している最も勢いのあるシェフの一人。言うまでもなくラ・リヨンの佐藤伸夫シェフはその三国氏の真の右腕だった。

佐藤氏は横浜のコートダジュールミクニズの料理長兼総支配人を務めながら、数あるミクニブランドのレストランを統括する立場にいた方。ミクニブランドの現場の総責任者といったところだろうか。また要職にありながら「のぶおさん」とファーストネームで慕われ、食事に訪れる後輩達もひっきりなしだ。

そんな方が練馬区の日常という世界に降りてきた。