アミューズの「白ゴマのババロア ルッコラとスモークサーモンのミルフィーユ仕立て」はシャンパーニュの相性以外考えられない一皿。一つひとつの完成された料理が重なり合い、口の中で重なり合った瞬間にシャンパーニュとともに流れ落ち、残るのは爽やかなシャルドネとルッコラの香り。
次の前菜は「鮑・茄子・冬瓜のクーリ、キャビアのせ」蒸した鮑とその肝、茄子をタプナードで和えて、冬瓜をピューレ状にしたジュレに浸すという料理。これもアミューズ同様にそれぞれの素材が上手に組み合わさり、上品な味わいに仕上がっている。「赤座海老の湯葉巻上げ」は今はメニューにないが、何かほっとする一品。最近はパリでも日本や中国など東洋の香辛料や食材を使うことが多くなっていると聞く。最近のフランス人はこういった料理が好きだろうなあ、と想像してしまう。
「ヤガラのポワレ」に添えられた落花生はパン粉にガーリックを塗したもの。意外な食材と組み合わせはいいアクセントとして印象に残る。
(落花生をこうしてアレンジする料理はちょっとしたおつまみとして使える!)
肉料理はオプションで「コルベールのロースト」を。ジビエの季節にはやや早い感があるせいか肉の厚さはやや物足りない。しかし野性の鴨特有の苦味はそこそこ活かされ、ソースもシンプルながらグラーヴのしっかりとした赤ワインとひとつになり緩やかに溶け合う。
デザートは「ミントのジュレ」
優しさの固まりのような料理の最終章にふさわしいデザート。濃厚なショコラとはまた違う、気持ちが洗われるような爽やかさに包まれるこの快楽。
シェウラノの料理は全体的に決して強い料理ではない。でも軽い料理でもない。インパクトがあるか?と聞かれるとゆるいような気がする。でも優しくて気持ちがよくなる料理には間違いない。料理はいかに和風に見えようとも、それはそれでれっきとしたフレンチ。ダイニングバーで創作和食なるものを食するのとは全く違う。
改めて思うが、フランス料理の奥は深く、どこまでも長い。
満腹にはならなかったが、気持ちは大満足のディナーであった。
ここはシェフの創造性に敬意を表して長く付き合えるレストランにしたい。
■シェウラノ
東京都港区虎ノ門3-22-10 東武ハイライン芝虎ノ門104
電 話 03-3433-1433
ランチ 11:30~14:00
ディナー1800~21:30
日曜休(12月より月休)
営団地下鉄日比谷線「神谷町駅」(3番出口)より徒歩5分
サービス料は5%
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