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PSP goの発表に欠けていた大切なもの(3ページ目)

ついに発表されたPSP Go。UMDドライブを廃止し、16GBのフラッシュメモリを搭載するという、今までのPSPとは全く異なるハードでした。しかし、このPSP Goの発表には、大切なものが欠けていました

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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目的じゃなくて手段が語られているPSP go

もともとPSPだって色々できる子なんです。でも、実際に使ってもらえるかどうかというのは、また別の問題もあります(イラスト 橋本モチチ)Media GoでPSPのあり方が大きく変化するといった話をしといてなんですが、実は今までもPSPは似たようなことができました。Media Manager for PSPというソフトがありまして、これをPCにインストールしてPlayStationStoreに接続したり、PSPにコンテンツを転送したりすることができました。Media GoはこのMedia Managerの新バージョンとでも呼ぶべきソフトです。また、従来のPSPでもMedia Manager for PSPはもちろん、Media Goも使うことができます。つまり、もともと、PSPでデジタルコンテンツを集約して持ち歩くというのは、可能だったんです。

ただし、できるということとユーザーがやるということには大きな違いがあります。今まではPSPはやっぱりゲームを中心に据えて作られたハードですし、そういう売り方をしてきたんです。Media Managerの存在も、おそらくはごく1部の詳しいユーザーしか知らなかったでしょう。

そこにPSP goが登場し、Media Goを同梱し、新しいPSPのあり方、デジタルコンテンツを集めて持ち歩くハードだという打ち出しをしました。おそらくはアップルがiPodで音楽やゲームやアプリケーションのダウンロード販売に大成功している北米市場を狙ってのことでしょう。今度こそ、広く、訴えかける必要があります。新しいデジタルライフとはどんなものであるのか。誰が、何の目的で、どんな風にPSP goを使うのか。それがなくては、UMDが無くなっただけのPSPにも見えてしまいます。

しかし、今回のE3ではその部分がすっぽり抜けていました。もちろんPCを使ってPSPにコンテンツをダウンロードする方法としてMedia Goは紹介されましたが、扱いは決して大きくありません。従って、PSP goがどうやってエンターテイメントを集約していくかも強調されず、PSP goとMedia Goを組み合わせた新しいPSPの使われ方、ライフスタイルの具体的イメージが伝わってきません。

結果的に、多くのメディアで流れたのは、UMD廃止、小型化、ゲームソフトのオンライン販売、高くなった価格といったものばかりが中心で、ちっとも新しいデジタルライフというところに焦点があいません。

本来はSCEのいう新しいデジタルライフがどんなに魅力的なものであるか、業界関係者や、メディアや、その先のユーザーにプレゼンテーションされるべきで、UMD廃止や小型化やオンライン販売は、あくまでその手段であるはずです。このことは、PSP goという商品の存在理由をあやふやにしているようにも感じます。

これは販売戦略の第1歩としては、かなりマズイ状態かもしれません。とは言え、まだ発売まで半年近い時間があります。今後、PSP goがその存在意義を強く打ち出し、新しいデジタルライフというものを見せてくれることを期待して、動向を見守りたいと思います。

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