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SCE社長交代に見える戦略とは(3ページ目)

2006年12月1日、ソニーコンピュータエンタテインメント(以下SCE)の社長が交代しました。社長交代のニュースを分かりやすく解説していきながら、SCEの今後の戦略について考えていきたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


ハードからソフトへ

社長交代の図
久夛良木氏から平井氏へ、PS3の行方は託されました。
平井氏が社長となることでSCEがどのような方向性へ進んでいくのか、まずひとつ考えられるのが、ソフト事業の強化です。PLAYSTATION3は最先端の技術を結集したマシンであり、発売時にも、搭載されているBlu-rayDiscドライブの生産の遅れなどから、十分な数が用意できませんでした。しかし、最先端の技術を使うことによる開発の困難はハードだけの問題ではありません、PS3に使われているCellというCPUは高性能では有るもののソフト制作がとても難しいと言われているのです。

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実際、先述した通り、日本でのPS3のロンチタイトルは4本。XBOX360の7本、Wiiの16本と比べても、全世界1億台以上普及したPlaystation2(以下PS2)の後継機としてはちょっと寂しいところです。PS3の高性能をアピールするのにも、ソフトの充実は急務です。スペックをうたっても買う人はあまりいません、やはりソフトで生かしてこその性能です。その意味でソフト開発体制作りに実績のある平井氏を起用したという面はあるのではないでしょうか。

北米市場重視の戦略

それからもう一点、北米市場重視の戦略です。北米の市場規模は日本の約3倍と言われ、ビジネス的には日本よりも重要であると言っても過言ではありません。PS2は北米でも他社に先行し、圧倒的シェアを誇りましたが、今回は様子が違います。マイクロソフトのXBOX360はPS3よりも1年早く発売され、2006年末までに全世界で1000万台を出荷、そのうち6割~7割程度が北米向けと見られます。PS3はこれを追う立場として、ここから巻き返しを図らなければなりません。SCEAで長年北米市場を牽引してきた平井氏が陣頭指揮を執ってその任に当たるというのは妥当なのかもしれません。

SCEは社長交代に加えて、Playstation事業の立ち上げメンバーである佐藤明氏を代表取締役副会長に、ソニーコンピュータエンタテインメント・ヨーロッパ社長のデビッド・リーブス氏を取締役副社長に就任させる人事を発表しました。

2006年12月12日には今までPlaystationで発売されていたドラゴンクエストの本編が、ニンテンドーDSで発売されることがスクウェア・エニックスから発表されました。生産の遅れによる2006年末商戦での品薄に加えて国民的RPGのプラットフォーム移動、PS3を取り巻くの状況は決して良いとは言えません。指揮系統を強化したSCEが新たなソフト戦略を持って、世界レベルでXBOX360やWiiを追い上げていくのか、その動きに注目が集まります。

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